BRICs Watch -April 2007

4/26/2009
(注) この記事は 2007年 5月27日の記事の再録です。

又,ひと月ぶりのご無沙汰です。

このところ仕事に追われてどうしてもblog に手が伸びずにおりますが、
目下のところ、すごく気になって仕方がないことの一つに、今度施行される
「金融商品取引法」のその条文です。

一番気になるのは、第 51条に記されている
「内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため
必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し,
行法の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきを命ずることができる。」

というもので、これは、例えば法令に遵守して一生懸命やってたくさん儲けたとしても、
法令を遵守するあまりに全然儲からずに赤字をたくさん作ってしまったとしても、
立入検査等を受ける可能性がある、ということです。

要は、悪徳業者が悪いことをしているだけにとどまらず、つぶれそうな会社に対しても、
儲けすぎて鼻持ちならない会社に対しても適当に言い訳を付けて調査を行い、いろいろ
行うことが出来ますよ,という条文なのです。


そりゃ、確かに監督官庁がいる商売ですから監督目的に立ち入る名目が欲しいのは
わかるのですが、これって90年代以前の裁量行政の時代に逆戻りで、
言い換えると、お役人様が
「あ、こいつ気に入らないから言い訳つくって入ってしょっぴいちまおう」
という、好き勝手が出来る、ということです。
しかも、法律上には至る所解釈がなんとでも成り立つ部分がたくさんあって
そこに対する明言をしないでいるのは、問題が起きたときに、その解釈を
如何様にもかえることで行政処分を好きなようにだせるカードを持ち続けたいから、
というのが見え見えなのです。


さて、こんな、普通にまっすぐビジネスをやろうとしても、常にお役人の顔の色を
見ながら商売しないといけない、と言われたら、あなたはこの国で商売をしたいでしょうか。
世界に目をやると、もっとクリーンなルールを提示して、かつ法人税も安い国が
たくさんあるのです。

この国の金融業界がこんなことを端にすたれないことを祈らずにはいられません。

全世界のGDP成長率が今年 4.9%と IMFが4月に予想している中でもその牽引力となっている BRICs 各国の動向は、この数ヶ月のトレンドがとどまることなく、引き続き実需と投資資金の双方での資金が流入していることにより、対ドル高傾向を持続させる展開になりました。しかしながら、対ドル高の影響もわずかながら見え始めてきております。

ブラジルレアルは、年初以来で 5.5% の上昇を見せ、また20日に過去6年間の最高値となる1米ドルあたり 2.0134レアルを記録し,引き続き堅調な対ドル高のトレンドを維持しております。貿易とサービスの目安となる経常黒字は3月末時点に8.17億米ドルと拡大傾向にある中、通貨高の影響で輸入材コストの低下が消費者物価指数を押し下げる大きな要因になりつつある一方、月中の統計局の発表した月次インフレ率も 0.22%と予想よりも低いレベルにて推移して、6月の再利下げが予想されております。

ロシアルーブルは、3月の石油精製量が前月比 5.5% 増加し、引き続き世界最大のエネルギー輸出国としての実需の面からの資金流入が続くことから、対ドルで堅調な強さを見せる展開となりました。3月の工業生産高が電気機器などが牽引したことで予想を上回る年率 7.9%の増加をみせましたが、特にインフラへの投資が功奏して製造業の成長が 12.5%とその成長の下支えとなっております。 外貨・金準備残高も原油やガスの輸出により4月19日時点でも 残高が3,612億ドルと引き続きその残高を積み上げております。?

インドルピーは、4月の一ヶ月の間に対ドルで1973年2月以来の 5.3% の上昇をみせました。中国に次ぐ世界二番目の経済成長の速さを求めて、引き続き海外の投資家の資金が流入したためと見られる一方、過去二年で最も速いペースになりつつあるインフレと加熱しつつある経済成長の抑制を試みるために中央銀行が月末に準備預金率を引き上げることで市場からの余剰資金を吸い上げまようとしましたが、皮肉にもその準備のためのドル売りが更なるルピー高を引き起こしました。

中国元は、4月も引き続きペッグ制を廃止して以降の最高値をマークし続け、ペッグ制廃止後の上昇幅は7.4% に達しました。2007年第一四半期の貿易黒字は464億ドルと前年同期比でおよそ2倍となり、また国内企業の多くが第一四半期が好調であったことから株式指数(上海証券取引所と深セン証券取引所の人民元建てA株に連動するCSI300)も月末にかけて最高値を記録していることから、加熱した経済の抑制を目指して準備預金率の11%への引き上げとともに対ドル高の容認をおこなっているものと見られております。

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