求む、読者!
といっても、このブログの、ではないです。
というか、そもそも、定期的にfeed から読んで頂いてい10数名以外にどれだけ読まれているか、追いかけもしていませんが。。。
ではなく、過日とある情報ベンダー様主催のセミナーに出席しました。お題目は今後来るであろう世界的な流れとしての企業の統合報告と情報開示についてでした。
上場企業のIR担当ならまだしも、ファンド屋の著者が何故企業の統合開示になぜ、というご質問はあるでしょうけど、そんなある意味門外漢に取っても中々興味深い内容でした。まぁ、内容自体は、
という本の発表に合わせた、その内容の裏話的な側面があるので出た人だけのお楽しみ、とした方が良さそうですが(くすくす)、この世界的な企画の策定・導入とそれに対する日本企業の対応とか、当局のスタンスとか、IFRS に限らずすべてにおいて同じの、「受け身」で「後追いのフォロー」であり、「策定プロセスに関与して」ゲームプランを有利に作れるようにしない、というのがここにも現れてるなぁ、と思いながら聞いていました。もったいない。
まぁ、私がそんなことを言える立場ではないので、タイトルの話に。
この統合報告(Integrated Report、略して IR) には、従来の企業が投資家や債権者等に向けて開示する財務情報に付け加えて、非財務情報を開示するに当たり、世界的な流れとしてよく言われる ESG (Environmental, Social, Government / 環境、社会、企業統治) 要因の判断材料の提供を念頭に置いて話がなされています。確かに地球温暖化や環境汚染という意味での企業の取り組みを示す Environmental factor、地域社会や、たとえば新興国での児童労働問題といった観点での問題意識を示す Social factor、そして。。。日本でも問題になっている取締役と取締役会の機能、といった Governance。どれをとっても、非財務情報として、企業体のリスクや将来の方向性を開示する意味では大事な情報、というのは、直観的にわかります、よねぇ。正しく管理し、また法令順守され、企業統治がステークホルダーの利益を保全する形で機能していればよし、そうでなければ将来的な訴訟リスク等が潜んでいる、ということが直観的かつ短絡的なイメージとして感じ取れる訳ですので。。。
とはいえ、これらを定量的に測り、また同業他社と財務分析の時のように比較できるのか、というと。。。最近ではそういうことが出来るように情報開示が進んできている側面もあるようです。それこそ、情報ベンダーさんたちの涙ぐましい手作業で、情報として拾えるものを文章の中から拾ってくる、なんて形らしいのですが。。。とはいうものの、いまだもって(とはいえ、当然と言えば当然ですが)画一的なフォーマットや開示要件があるわけではないので、企業ごとに開示内容は異なり、ベンダーさんでカバーできる指標の範囲でベンダーさんが開示レベルのインデックスというのを作って、「この企業さんはうちの開示情報の範囲ではこのレベルまで開示してますよー」という目安まで作っているくらいですし、手作業での情報の拾い集めですので、この会の終わりにパネリストの一人が「この会が終わったらご自身の会社の開示情報を端末で確認して、正しく開示してもらえているか確認した方がいいですよ」と、いうくらい。その意味ではまだ黎明期、ということで括れるのかもしれません。
といいつつも、ここでポイントになってくるのが、発信する側はあれこれ試行錯誤しながら見てもらえることを期待しながら開示している、というのが現状、ということでしょうか。当然、ルールがないので、自社が力を入れること、自社の目指す方向のベンチマークになること、なんて前向きな会社さんであれば、そういうことを開示してアピールして会社運営にも有効に使って、なんてことでしょうし、開示せにゃならんけどどーしよ、どうやってデータかき集めて、というか支店や工場が協力してくれるかなぁ、なんて後ろ向きな会社、はては、手間だしコストだしいらんことは言わないからやらんっ!もある(かもしれない)し、そもそも知らない、という企業すらあるかもしれない(国内の上場企業 3700社のうち、この某ニューヨーク・ベースの情報ベンダーさん曰くカバレッジが 1000社くらいと世界でも二番目に多い情報開示国だそうです、日本って。ということは、2700社くらいは何も開示していない、ということでもあるわけですな)中で、何をどうやって計測し、開示していくか、というのは今後の課題になるでしょうけれども。。。
そもそも、誰が何を何のために読むんでしょう、というのが開示側のもう一つのモチベーションになり、またこの潮流の先を左右する大きな要因だと思うのです。
ここのブログのように、誰が読むわけでなく、単に著者の趣味でひたすら駄文を書きつられている、ならば、目的なく、いつ始まっていつ終わるともなくいけばいいのですが、誰にも読まれない情報開示を継続するのは企業が(人的費用的その他もろもろの)コストを掛けて行うに値しない、となるのは当然で、株式取引所が上場維持のために行えというから、では誰も上場維持しなくなるかもしれない、というのは既に四半期報告等上場維持コストの上昇で IPO 件数が減っている一つの原因ともささやかれていることを見ると想像に難くないのかと。
としたときに。。。
ふと思うんです。そもそも、誰がみてます?
ESG要因って誰が見てるのでしょう。そのうち、何が知りたい情報なのでしょう(で、それを元に投資判断する、ということにつながるわけですが)。というのが、この流れを維持する大きなバックアップとなるのだと思うのですが。。。
個人の投資家さん、見てます?8割の方が見てませんよねぇ、多分。有価証券報告書だって見てないと思うので(ごめんなさい。一応ファンド屋として自分のところのファンドの報告書は作ってます。でも、内容が細かすぎて普通の人は読み切れない、と思って作ってます。それこそ法的要件を満たすために作っている、いい例だと思っています。個人の投資家さんにとって分かりやすいもの、どうしたら作れるんでしょうねぇ。。。)。
事業法人の投資家さん、見てます?個人と同じくらい、読み切れてないですよねぇ。
年金さん。。。この間の問題を踏まえると、大多数の方には期待薄ですよねぇ。
となると、そういう判断基準を持った本物のプロの投資家のための開示、ということになっちゃいそうですよねぇ。あとは。。。SRIファンドのマネジャーさんか。まぁ、プロの括りですな。むしろ個人ならそういうファンドをフィルターに掛ける目的で投資する方が安全なんですよねぇ。ここの投資のESG情報を見て判断するより、そういう投資目的のファンドが購入対象であり続けるかどうか見守ってくれる訳なので。
で、続いて、そういう人たちの投資って、開示する側の人たちの受ける投資のどれだけを占めるんでしょう。
えっと。。。念のために言っておきますが、開示することに懐疑的だったり、否定的だったりする訳じゃないんです。開示することは大事だと思います。問題は、開示することにより恩恵を受ける人がどれくらいいてどれくらい恩恵を受けるのか、が、開示する内容や表示方法などに大きく依存する、のではなく、読者によって読解し利用する能力に依存する情報という性質上、その開示を制度化して広く適用を強要した結果、新たな参入障壁となり、また参加者の参加継続意欲を削ぐ可能性が高いのではないか、という危険性があるのではないか、ということなんです。実際、それで IPO が減ってる、上場廃止が増えてる、という現実もあるわけですし。
むしろ、開示の範囲の最低範囲を決める、それこそ財務情報のみくらいにする。非財務情報は、発行体が投資家に対して、「どういう投資家に来てほしいからこういう情報を見てほしい」というメッセージとして自発的に発信し、また同業他社との比較というのが本当の意味の大口投資家との会話の中から見えてくることで自然淘汰の形での標準化が進む方が投資家と発行体のコンセンサスが一致し、かつコスト面でも効果的なのではないかな、と思うんですよねぇ。ある意味市場と発行体の会話、と言うべきでしょうか。情報が足りないから投資家から見てもらえない、を、できる範囲で出来ることを出来るところから対応して改善していく、ということを促し、それの出来る発行体、出来ない発行体に事実上ふるい分けることになりますので。
まぁ、これを言えば、既に日本の有価証券報告書における企業統治の報告の内包化の完了を踏まえるなら逆行している、ということに他ならない訳ですが、市場の活性化をどういう形で推し進めたいか、を考えた場合に、特に日本の企業の場合に、まず法制度が定まって、それに(泣きながら、やれ J-SOXだ、やれ IFRS アダプションだ、といいながら)対応するケースが多い以上、それが目に見える形では「追加のコスト」や「追加の努力」にしか取られないんでしょうねぇ。その意味で、業界通例を追認する形の規制、行わないんですかねぇ。無駄に参入障壁だけあげてるような気がしてならないのですが。。。まぁ、これは性善説で行われているので規制当局の目指したい性悪説による可能性の排除の考え方からは対極にあるのかもしれませんが。。。
まぁ、分からなくもないですよ。どうせ読者が分からないから、と言って情報開示しない、というスタンスはよくない、という基本的考え方があるのも。お陰さまで、誰にも読まれもしない本ブログでは不要すぎるくらいてんこ盛りにあれこれ書いていますので(笑)突込みどころ満載なわけですから(爆)
読まれてないので突っ込まれない、というのは自明としても(苦笑)
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というか、そもそも、定期的にfeed から読んで頂いてい10数名以外にどれだけ読まれているか、追いかけもしていませんが。。。
ではなく、過日とある情報ベンダー様主催のセミナーに出席しました。お題目は今後来るであろう世界的な流れとしての企業の統合報告と情報開示についてでした。
上場企業のIR担当ならまだしも、ファンド屋の著者が何故企業の統合開示になぜ、というご質問はあるでしょうけど、そんなある意味門外漢に取っても中々興味深い内容でした。まぁ、内容自体は、
という本の発表に合わせた、その内容の裏話的な側面があるので出た人だけのお楽しみ、とした方が良さそうですが(くすくす)、この世界的な企画の策定・導入とそれに対する日本企業の対応とか、当局のスタンスとか、IFRS に限らずすべてにおいて同じの、「受け身」で「後追いのフォロー」であり、「策定プロセスに関与して」ゲームプランを有利に作れるようにしない、というのがここにも現れてるなぁ、と思いながら聞いていました。もったいない。
まぁ、私がそんなことを言える立場ではないので、タイトルの話に。
この統合報告(Integrated Report、略して IR) には、従来の企業が投資家や債権者等に向けて開示する財務情報に付け加えて、非財務情報を開示するに当たり、世界的な流れとしてよく言われる ESG (Environmental, Social, Government / 環境、社会、企業統治) 要因の判断材料の提供を念頭に置いて話がなされています。確かに地球温暖化や環境汚染という意味での企業の取り組みを示す Environmental factor、地域社会や、たとえば新興国での児童労働問題といった観点での問題意識を示す Social factor、そして。。。日本でも問題になっている取締役と取締役会の機能、といった Governance。どれをとっても、非財務情報として、企業体のリスクや将来の方向性を開示する意味では大事な情報、というのは、直観的にわかります、よねぇ。正しく管理し、また法令順守され、企業統治がステークホルダーの利益を保全する形で機能していればよし、そうでなければ将来的な訴訟リスク等が潜んでいる、ということが直観的かつ短絡的なイメージとして感じ取れる訳ですので。。。
とはいえ、これらを定量的に測り、また同業他社と財務分析の時のように比較できるのか、というと。。。最近ではそういうことが出来るように情報開示が進んできている側面もあるようです。それこそ、情報ベンダーさんたちの涙ぐましい手作業で、情報として拾えるものを文章の中から拾ってくる、なんて形らしいのですが。。。とはいうものの、いまだもって(とはいえ、当然と言えば当然ですが)画一的なフォーマットや開示要件があるわけではないので、企業ごとに開示内容は異なり、ベンダーさんでカバーできる指標の範囲でベンダーさんが開示レベルのインデックスというのを作って、「この企業さんはうちの開示情報の範囲ではこのレベルまで開示してますよー」という目安まで作っているくらいですし、手作業での情報の拾い集めですので、この会の終わりにパネリストの一人が「この会が終わったらご自身の会社の開示情報を端末で確認して、正しく開示してもらえているか確認した方がいいですよ」と、いうくらい。その意味ではまだ黎明期、ということで括れるのかもしれません。
といいつつも、ここでポイントになってくるのが、発信する側はあれこれ試行錯誤しながら見てもらえることを期待しながら開示している、というのが現状、ということでしょうか。当然、ルールがないので、自社が力を入れること、自社の目指す方向のベンチマークになること、なんて前向きな会社さんであれば、そういうことを開示してアピールして会社運営にも有効に使って、なんてことでしょうし、開示せにゃならんけどどーしよ、どうやってデータかき集めて、というか支店や工場が協力してくれるかなぁ、なんて後ろ向きな会社、はては、手間だしコストだしいらんことは言わないからやらんっ!もある(かもしれない)し、そもそも知らない、という企業すらあるかもしれない(国内の上場企業 3700社のうち、この某ニューヨーク・ベースの情報ベンダーさん曰くカバレッジが 1000社くらいと世界でも二番目に多い情報開示国だそうです、日本って。ということは、2700社くらいは何も開示していない、ということでもあるわけですな)中で、何をどうやって計測し、開示していくか、というのは今後の課題になるでしょうけれども。。。
そもそも、誰が何を何のために読むんでしょう、というのが開示側のもう一つのモチベーションになり、またこの潮流の先を左右する大きな要因だと思うのです。
ここのブログのように、誰が読むわけでなく、単に著者の趣味でひたすら駄文を書きつられている、ならば、目的なく、いつ始まっていつ終わるともなくいけばいいのですが、誰にも読まれない情報開示を継続するのは企業が(人的費用的その他もろもろの)コストを掛けて行うに値しない、となるのは当然で、株式取引所が上場維持のために行えというから、では誰も上場維持しなくなるかもしれない、というのは既に四半期報告等上場維持コストの上昇で IPO 件数が減っている一つの原因ともささやかれていることを見ると想像に難くないのかと。
としたときに。。。
ふと思うんです。そもそも、誰がみてます?
ESG要因って誰が見てるのでしょう。そのうち、何が知りたい情報なのでしょう(で、それを元に投資判断する、ということにつながるわけですが)。というのが、この流れを維持する大きなバックアップとなるのだと思うのですが。。。
個人の投資家さん、見てます?8割の方が見てませんよねぇ、多分。有価証券報告書だって見てないと思うので(ごめんなさい。一応ファンド屋として自分のところのファンドの報告書は作ってます。でも、内容が細かすぎて普通の人は読み切れない、と思って作ってます。それこそ法的要件を満たすために作っている、いい例だと思っています。個人の投資家さんにとって分かりやすいもの、どうしたら作れるんでしょうねぇ。。。)。
事業法人の投資家さん、見てます?個人と同じくらい、読み切れてないですよねぇ。
年金さん。。。この間の問題を踏まえると、大多数の方には期待薄ですよねぇ。
となると、そういう判断基準を持った本物のプロの投資家のための開示、ということになっちゃいそうですよねぇ。あとは。。。SRIファンドのマネジャーさんか。まぁ、プロの括りですな。むしろ個人ならそういうファンドをフィルターに掛ける目的で投資する方が安全なんですよねぇ。ここの投資のESG情報を見て判断するより、そういう投資目的のファンドが購入対象であり続けるかどうか見守ってくれる訳なので。
で、続いて、そういう人たちの投資って、開示する側の人たちの受ける投資のどれだけを占めるんでしょう。
えっと。。。念のために言っておきますが、開示することに懐疑的だったり、否定的だったりする訳じゃないんです。開示することは大事だと思います。問題は、開示することにより恩恵を受ける人がどれくらいいてどれくらい恩恵を受けるのか、が、開示する内容や表示方法などに大きく依存する、のではなく、読者によって読解し利用する能力に依存する情報という性質上、その開示を制度化して広く適用を強要した結果、新たな参入障壁となり、また参加者の参加継続意欲を削ぐ可能性が高いのではないか、という危険性があるのではないか、ということなんです。実際、それで IPO が減ってる、上場廃止が増えてる、という現実もあるわけですし。
むしろ、開示の範囲の最低範囲を決める、それこそ財務情報のみくらいにする。非財務情報は、発行体が投資家に対して、「どういう投資家に来てほしいからこういう情報を見てほしい」というメッセージとして自発的に発信し、また同業他社との比較というのが本当の意味の大口投資家との会話の中から見えてくることで自然淘汰の形での標準化が進む方が投資家と発行体のコンセンサスが一致し、かつコスト面でも効果的なのではないかな、と思うんですよねぇ。ある意味市場と発行体の会話、と言うべきでしょうか。情報が足りないから投資家から見てもらえない、を、できる範囲で出来ることを出来るところから対応して改善していく、ということを促し、それの出来る発行体、出来ない発行体に事実上ふるい分けることになりますので。
まぁ、これを言えば、既に日本の有価証券報告書における企業統治の報告の内包化の完了を踏まえるなら逆行している、ということに他ならない訳ですが、市場の活性化をどういう形で推し進めたいか、を考えた場合に、特に日本の企業の場合に、まず法制度が定まって、それに(泣きながら、やれ J-SOXだ、やれ IFRS アダプションだ、といいながら)対応するケースが多い以上、それが目に見える形では「追加のコスト」や「追加の努力」にしか取られないんでしょうねぇ。その意味で、業界通例を追認する形の規制、行わないんですかねぇ。無駄に参入障壁だけあげてるような気がしてならないのですが。。。まぁ、これは性善説で行われているので規制当局の目指したい性悪説による可能性の排除の考え方からは対極にあるのかもしれませんが。。。
まぁ、分からなくもないですよ。どうせ読者が分からないから、と言って情報開示しない、というスタンスはよくない、という基本的考え方があるのも。お陰さまで、誰にも読まれもしない本ブログでは不要すぎるくらいてんこ盛りにあれこれ書いていますので(笑)突込みどころ満載なわけですから(爆)
読まれてないので突っ込まれない、というのは自明としても(苦笑)
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