深圳、行くべきか行かざるべきか

ということで、twitter で垂れ流していたとおり、今回のアジア出張では、ソウル、香港はお仕事で、そして今回一日という時間を作れたので数時間だけですが香港の隣のmainland China、深圳にいってみました。
この10年、中国が、という急速な発展を仕事の世界でも、土産物屋を通じても、避けようのない程に目の当たりにしてきたのに、一度たりとも足を踏み入れたことのない、中国。そのパワーとは。人の流れとは。いつものように、目で見て肌で感じて、それからどうしたらいいのか考えて見たくなって行ってみました。
が、香港在住の知人から
「最近、ガジェットを買いに行った香港在住の人で、後ろから羽交い締めにされた上に、パスポート含めて身ぐるみを全部はがされ、しかもどういう訳か翌日に自宅に電話があってパスポートを返して欲しければお金と交換する、という連絡があった」
というパスポートの窃盗団とガジェットの窃盗団とのコラボが横行して物騒、というのをいく前日の晩に聞かされてかなりビビり(苦笑)、一瞬、羅湖(Luohu/Lo Wo) 行きの電車ではなく、上環(Shueng Wan) 行きのMTR に乗ったままマカオに変更しようかと思った位です(苦笑)
まぁ、私がガジェットを買いに行く、とは思われても当然ですが(苦笑)
さて。
とはいいつつも、思い立ったら最後まで、は今年のある意味目標でもあるので、そういうのも含めて見ながら何を想えるのか、まずは行こうと思い、ビビりつつもTsui Sha Tsui East から乗り換えながら羅湖を目指しました。
朝10時くらいの出発だったからか、それとも羅湖の駅の構造を考えてか、後方の電車は比較的空いていました。車窓から見える風景は、市街地から離れるにつれ緑が増える、と思ったら、すぐに段々都市的な風景になって行きます。やはり人の集まるところの周辺という所でしょうか。
羅湖の駅につくと人の流れは改札の先の国境に流れ込んで行きます。当然ですが外国人のゲートを通るのですが、それこそ数年前のマカオで並んだような長蛇の列というかんじではなく、あっさり抜けた感じです。
で、国境の川にかかる橋を渡り、入国書類を書いてパスポートと一緒に提出すると、そこはもう広東語ではなく北京語の溢れかえるメインランドでした。
人の流れが纏まると。。。すごい人です。確かに後ろから羽交い締め、されてもおかしくないかも。。。と緊張しつつ、
建物の出口の外貨交換で香港ドルを人民元に変えることに。HKD1,000 がRMB805に。ええ、もう香港ドルは弱くなってます。ドルペッグから離れて対ドル高圧力の掛かる人民元と引き続きドルにペッグする香港ドル。仕方のないところです。
出口の目の前には大きく広がる広場、左側には広州に向かう列車の駅である深圳駅、正面にはシャングリラホテル、そして、右側にはバスターミナルと、その上の深圳商業城と呼ばれるショッピングセンターがあります。

このショッピングセンターは見ておけ、と言うことだったので中に入って見ましたが。。。
所狭しと店がたくさん連なり、店の前には店員と思しき若者たちが通り過ぎる人を見ながら、丁度昼食時間だからか食事をし、という、香港やシンガポールのちょっと古めのビルの中の商店街でみるそれと全く同じ光景なのです。
ただ、不思議と声を掛けられません。丁度好都合なのですが(笑)、なかなk中まで入り辛いのも事実で、気づいたらフロアー一つを見終わり、二つ目に上がって、一軒とても小さい中国茶のお店を外から眺めたら中にいた若い女性に声を掛けられ、中で話を聞くことにしました。いくつかのお茶を、中国茶の入れる作法に従っていれて香りと味を試し、

結局丁度香港での会食で飲んだ人参烏龍茶を買ったのですが、聞けば、この福建省出身の彼女

が親に出資してもらったもののお店のオーナーで、3年前から一人で営んでいるそうな。まぁ、独立心が強いというのは聞いていますが。。。
で、お茶の入った紙袋を持って、引き続き建物の探索をしましたが、一度袋を持つと、こいつは観光客だとわかるらしく(笑)徐々に声が掛かる始まります。正しい中国語なのでわかりませんが。。。
で、ある程度歩いていると、エリアごとにある程度の特徴が見えてきます。例えば、一番上のフロアーでは半分がオーダーメイドのスーツやドレスがかなり安価でオーダー出来るようですし、3階の四分の一はアクセサリーや宝石、翡翠なんかも取り扱っているお店が密集。あとは所狭しと集まる既製服とガジェットとお茶と鞄屋。不思議と鞄屋によく並んでいるのが吉田カバンのPorter シリーズ。裏が読めないので手に取るのもしませんでしたが。。。
あとは、入り口でルイビトンとか時計とか言われます。興味の外なので行きませんが、興味といえば、足つぼマッサージが多かったです。とはいうものの、こういうお店はマニキュア、ペディキュアを勧めるためにやっているので、女性客が殆どでしたし、飛び込んでみたお店でも、男性の私にすら勧めてきました(苦笑)商魂逞しいです。ちなみに、足つぼマッサージ、45分くらいでRMB 30 です。思わずRMB 10 をチップであげちゃいましたが。。。

さて、ショッピングセンターを歩いていると、フロアーというよりもフロアーの一部にある程度の特徴が見えてきます。

例えば、最上階の半分がスーツやドレスのオーダーメイドの店でひしめき合っています。結構安く頼めそうで、一軒はRMB 9800 位でスーツ一着作れそうで、それを知ってか香港から来たであろう白人のお客が話し込んで居ました。他にも2フロアーの一部が宝石というかアクセサリーで占められていたり、その隙間にカーテン屋が数店あったり、先程から何度も繰り返している電子機器というかガジェットを扱う店、鞄屋、既製服にスカーフ、時計、お茶屋などがランダムに並び、フロアーの外れにレストランが、という配置でした。

そんな中で一際目立ったのが「美甲」と店名のおしまいに付くお店。中にはたくさんのソファーに女性客が結構入っています。そう、マニキュアやペディキュアをしてくれるお店なのです。とある店先で、というものの「foot massage」というので入って見ました。すると。。。男性の私にすら勧めてきました。マニキュアやペディキュア。マニキュアをしたらきっと取引先への面談に行けなくなるどころか家にすら入れなくなりそうなので丁重にお断りしましたが、まぁ見上げた逞しい商魂。ちなみに、足つぼマッサージはだいたい45分くらいでRMB 30 という驚異的な値段。思わずRMB 10 程チップを渡してしまいました。

さて。お腹も空いてきたので、エスカレーターのそばに立って居たタスキをした女性に声をかけてみるとします。英語のメニューを持っていればついて行こうかと思ったのです。案の定持っていました。ただ、メニューはステーキでしたが。。。
選んだのは、いわゆるセットメニューで、前菜のスープ(にパン)、メインのステーキに白身魚のグリルに野菜が少々、それにライスかスパゲッティがついて、最後にコーヒー。これでサービスチャージを10%乗せてRMB140。香港や東京とあまり変わらない感じですね。
観光地値段と思うべきかも知れません。

さて、お腹も膨らみ、さてと。。。
と思ったところで入り口に戻ると声が掛かります。
「ルイヴィトン」
。。。ええ、きっとそっち系です。興味がないのでパスします。そうそう、鞄屋でけっこう見かけたのが吉田カバンの一つ、Porter でした。まぁ、カバンも間に合ってるのと、吉田カバンなら日本で買う方が安心なので手にも取りませんでしたが。。。

建物を出て、気づいたら結構いい時間になっていました。国境に向けての人の流れも見えてきたので戻るとしました。ええ、商業城だけです。ビビりですんで。。。

とはいえ、香港への人の流れが思ったより多いのです。しかも旅行帰りと思われるヨーロッパ・アメリカ系の旅行者や、メインランドの人たちなど、時間のタイミングもあるのかも知れませんが、行きよりも多くの人が列を作っているので出国も入国もちょっと時間が掛かったと感じました。それを再確認するように、羅湖の駅のホームの人の多いこと。とはいえ、先頭車両まで歩くと列も短く、ちゃんと座れました。一応、ファーストクラスという車両もあって運賃と同額を払って座れるらしいのですが。。。

さて、これを書いている2012年3月11日。多分に日本人としてこんな個人的な話を書くべきではないのかも知れません。誰もがするように、お行儀よく、絆がどうの、という愛国心を掲げないといけないのでしょう。とは言え、前を向いて、明日を見据えて、世界に目を向けて行かなければいけないのも事実で、世界の日本以外の69億人の生活は日本の1億3000万人の一日を見ることはするものの待ってはくれません。彼らは彼らの生活があって、そうやって毎日が進んで行くのは私たちとて同じことです。そんな中、では、次の一手として我々はどうしなければ、自分はどうするか、考えねばいけないでしょう。

国内市場が豊潤でそこそこやっていれば生きていける、という幻想が日本でまだあるようですが、消費を支えてきたベビーブーマー世代が60歳以上となり、徐々に消費が減速し、結果としてGDP の本格的なマイナス成長も見え始めてくる時点で、巨大な消費市場として中国を捉えるか、インフレに伴って人件費が上がる中でまだ工場として依存するか、前述のお茶屋の彼女のような小さな起業家がますます増えるだろうこの国の企業に投資するのか、ごく最近当局が発表したように、従来の国内投資家に対する海外の運用者によるプライベートエクイティ投資の開放だけでなく、ヘッジファンドへの投資の解禁のような、従来の「ゴルフバッグにお金を詰めて深圳から香港に運ぶ」ような規制の外のお金ではなく、規制に基づく国外に流れ出すお金を捕まえる側に回るか。自分自身がやっとこの巨大な市場の極々一部を、とはいえそこにいる「人」の生活を目にして、感じて、改めて考える初端を掴んだ、そんな気がします。


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