BRICs Watch - January 2009

4/29/2009
(注) この記事は 2009年2月18日の記事の再録です。

とうとう、この日が来てしまいました。
BRICs Watch の最終回。

いや、BRICs が崩壊した訳じゃないんです。
私がこれを書く理由としていたファンドが終わっちゃったんです。1月に。
おかげで、シティバンクさん(ええい、実名かいちまえ!)とのおつきあいも終わりです。
# まぁ、インベストメントの人たちとの個人的な付き合いはありますが。。。

でも、なかなか新しいファンドをやっていただくって難しいんですよねぇ。
しかも、うちのような、ある意味器貸しの商売ですと、投資対象のトレンドを
うまく見つけたプロバイダーさんと、それに乗りたい販売会社さんとで合致して
初めて私たちの番ですから、道の遠い事。。。

ということで、うちのファンド、誰か使ってくれませんか?(笑)
実績はありますから、ご安心ください(笑)

なんて、泣き言はさておき、最終回、きっちりかかせていただきます。
世界的な不況はファンダメンタルズすら変えてしまうこともある訳ですが
ノリノリだったBRICsはFour Little Dragons のようになってしまうのか
G8の仲間入りが出来るのか、その試金石は今なのかもしれません。。。

1月の新興国市場は、引き続き世界的な金融危機と商品相場の動向による影響が実体経済にも影を落としております。景気の減速へのてこ入れや止まらないインフレ抑制など、各国の取り組む問題とその対応が注目される一方で、投資資金のリスク回避行動が市場の大きな舵取りを担っていることは昨年来より変わりません。

ブラジルレアルは、月初に一度は2ヶ月ぶりの高値を記録したものの、月次騰落率で -0.2%を記録し、マイナスの月次騰落率が1999年以来となる6ヶ月連続となりました。2008年の貿易黒字が過去6年で最低であったことや、ブラジルの最大の貿易相手である米国での 2008年第4四半期の景気後退が 1982年以来のものと深刻であり、またこの不況も今年中も尾を引くと見られることからブラジルの輸出商品や国内資産への需要が減る事が予想されることの影響を受けております。

ブラジルのインフレの指標のうち、消費者物価、卸売物価、および建設価格と最も幅広く構成される IGP-M指数は 1月、前月比で 0.44%下落しました。需要の低下はレアルの下落による効果と相殺され、もはやインフレは脅威ではなくなりつつあると見られております。消費者物価で構成される IPCA-15指数も月次ベースでは 0.4%ほど上昇しているものの、月中までの12ヶ月で 5.79%と前月である昨年12月中旬の 6.1%から減速が鮮明となりました。

中央銀行は21日に 2007年9月以来初めて指標金利であるSelicを13.75%から12.75%に引き下げました。1%ポイントの引き下げは5年ぶりで、市場の予想以上の下げ幅でした。

国内でのローンの不履行の割合が景気の減速を受けて6年ぶりの高水準となりました。個人の債務不履行は 12月に 8.1%と前月の 7.8%から上昇しました。景気の減速と信用危機により借り入れコストが増加したことにより返済が困難になったことが影響しているようです。

一方で、ブラジルへの海外直接投資は昨年 12月に月次ベースで過去二番目に多い額が流入し、年次ベースでも過去最高の投資額を記録しました。11月の 1.8億米ドルに対して、12月は 81.2億米ドルを記録した事で、年次でも過去最大となる451億米ドルに到達しました。

ロシアルーブルは、年初以来既に1998年に記録した月次下落率以来となる 22%の下落を記録し、11年ぶりとなる1ドル36ルーブルが目前となるレベルにまで対ドル安が進行しました。過去6ヶ月で原油価格が 69%下落した事により経済が衰弱し、1998年以来の金融危機を引き起こすとの見方があり、昨年の8月以来 2900億米ドルがロシア国外に流出したとの試算も出ております。

中央銀行は、インフレ抑制とルーブルの安定のために、11月以来3度目となる指標金利の引き上げを行いました。中央銀行は11月中旬以降20回に及ぶ為替の取引幅の拡大を行うことで変動幅の事実上の撤廃とそれに伴う管理フロート制への移行を完了し、またこれに伴って事実上の段階的な通貨の切り下げも完了させ、また、外貨準備金残高の1/3を8月以来対ドルで34%下落したルーブル防衛に費やしました。

2008年の経済成長は 6%だったと報じられました。

外貨準備金残高は1月19日現在で 3865億米ドルですが、その前2週続けて大幅に残高を減らしました。最大の残高であった昨年8月から通貨防衛の為に既に 35%取り崩した計算です。

インドルピーは、引き続き月次ベースで下落しました。世界的な経済不振による経済成長の減速と企業収益の目減りを懸念して海外ファンドが株式の売却を進めている事が影響しております。指標となる株式指数も今月 2.3%下落し、海外投資家による売り越しは 11億米ドル相当に達しました。

国内のインフレは17日までの卸売物価指数で前年同時期比 5.64%の上昇と、11ヶ月ぶりの低水準に留まりました。原油等の商品市場の下落が影響したものと見られております。政府も2日に一連の景気刺激策を発表し、中央銀行も同日に10月以来となる予想外の利下げを行いましたが、インフレの減速により経済成長をてこ入れの為に更なる引き下げもあるものと見られております。

11月までの一年間の工業生産成長率は 2.4%上昇と、10月に記録した 0.3%減少から予想外に反転しましたが、財務年度である4月から11月までの工業生産成長率は 3.9%と、昨年同時期の 9.2%から半減しております。11月の輸出も前月に続き、前年同時期比で 9.9%下落しました。経済成長は3月末までに 6.8%と、2003年以来の低水準に留まると市場では見られております。

中国人民元は、月次ベースで-0.37%とわずかに下落しました。ドルペッグ制廃止後3年掛けて2008年7月までに 21%対ドル高に動きましたが、その後一進一退が続いております。その動きから米国新政府の高官から為替操作国との発言がありそれを受けて一ヶ月ぶりの大幅安となりました。

世界的な不況により中国製品の輸出需要が減速し、経済成長率は第4四半期で 6.8%と2001年以来の低水準を記録し、年率換算での経済成長率も9%に留まりました。貿易黒字幅も世界的な不況により過去数ヶ月で減少し、それに伴い国内への米ドルの資金流入も減少していることから、元への需要の低下を要因づけていると見られております。12月の輸出は 2.8%減少と、10年ぶりの減少を記録しました。通年でも前年比 17.2%と前年同時期比 25.7%を下回りました。
工業生産伸び率も 5.7%と10年ぶりの低水準に留まり、インフレも1.2%と過去2年で最も遅いペースとなりました。これにより、更なる利下げが予想されております。

都市部での不動産投資も年初からの11ヶ月で26.1%増加と前年同時期比での26.8%をわずかに下回りました。

海外直接投資は過去12ヶ月で 5.7%減少しました。

12月末時点の外貨準備金残高は 1兆9500億米ドルと、9月末時点から約400億米ドルほど流出した計算です。人民元のドルに対する上昇率の停滞で投機的資金が流出したことを背景に、10-12月期の外貨準備金増加ペースは鈍化しました。

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