BRICs Watch - September 2008
(注) この記事は 2008年10月27日の記事の再録です。
さて、一応生きて帰ってきました。
なんちゃって世界一周旅行も完成し(笑)欧米の不況感を肌で味わってくる結果に
なった訳ですが、しかし、本当に今回はすごいですね。
ある意味、リーマンの飛んだ Bloody Sunday から始まり
# 実際は、その前の Bear Sterns から、とかGSE がとかいろいろと言い方はあるのですが
一気に世界が様変わりした、そんな感じにも見える一方、
よくよく見ると、時計の針が急激に逆回転している市場の動きが見えて来たりと
不思議な感覚に襲われるような気がしてなりません。
今回の私の世界一周旅行がいつブログにこうやって書けるのか、それが今一番の
気がかりですが、どうもこの毎月のレポートを書くに留まらざるを得ないようです。。。。
ということで、ちょっと仕事優先で(苦笑)
先月のBRICs を振り返ってみましょう。もはや、ファンダメンタルズの強みや、
前月までの経済成長とインフレ対策の両立といううれしい悲鳴はどこかに消え去り、
投資家の急速な逃避行動の中で自国の経済の安定を模索せねばならなくなってしまいました。
9月の BRICs をはじめとする新興国市場は、数ヶ月前までに懸念とされていたインフレと経済成長の両立問題といったムードが大手証券会社の倒産を端に発する米国発の世界的な金融危機と、それと前後して反転し始めた商品市場の下落とともに消し去られ、日々10年に一度と言われる高騰下落を繰り返しながら、経済の安定への道筋を模索することとなりました。
ブラジルレアルは、世界的な信用収縮の影響と商品市場の下落を受けて、このひと月で対ドルで17%安を記録しました。26日には6.1%と1999年1月以来となる一日での大幅な下落率を記録し、2007年8月以来の1米ドル 2レアルの水準にまで値を戻すこととなりました。
このレアル安によりレアル高を予想していた輸出企業にダメージを与えることとなりました。また、信用収縮が世界的に広がる中で、8月は自動車などの購入の為の個人向けが伸びた一方で、9月は国内での貸し出しも減速しております。中央銀行は金融危機に対応すべく、銀行に求めていた預金準備率を引き下げることで市中の余裕資金を増やしました。
株式市場も 29日はボベスパ指数が10%下落したことから日中の取引が中断し、中断後も値を下げてこの日一日で12%下げました。また、8月の一ヶ月で 136億米ドル相当の資金が市場から海外に流出したと見られております。
ブラジル国営の開発銀行は、現在の緊縮した信用市場での国内企業への融資を援助する為に、150億レアルの資金注入を 財務省から受け、来年までに 950億レアルの融資を予定しました。
9月の貿易収支は、28億米ドルの黒字と前月末の 22.7億米ドルから増加しました。輸入が 8月の175億米ドルから 173億米ドルに減少し、輸出が 197億米ドルから200億米ドルに増加したことによります。
国内のインフレ指標となる、IGP-M価格指数9月に年率で 12.31%と、8月の13.63%や過去5年でもっとも高かった7月の 15.12%から2ヶ月連続で減速しております。月次ベースでは前月の 0.32% の下落に対して0.11%上昇しております。月中のインフレ指標である IPCA-15 指数も中央銀行による金利引き上げのペースの減速が予想されることを受けて 0.26%の上昇と3月以来の低水準となりました。食料品以外の価格の上昇は 0.41%と前月の 0.38%から上昇しておりますが、食料品価格が 0.25%下落したことにより相殺されました。消費者物価指数である IPCA指数の8月は月次で 0.28% と2年ぶりとなる低水準になりました。商品価格の下落がインフレの減速の要因となっていますが、サービス価格で 0.73%の上昇、政府規制のない食品以外の商品の価格も0.5%と、食品以外の価格の上昇は継続しております。
過熱した国内需要の軽減を狙った4月以降の中央銀行による3回の金利引き上げは、結果として予想外で1995年以来となる年率換算で 6.1%の第二四半期の経済成長率のもたらすことになりました。これを受けて10日にさらに政策金利を0.75%引き上げて過去2年でもっとも高い水準である 13.75%としました。
国内企業が年末までに 200万人と記録的なペースで雇用を増やしていることから、8月の失業率は2001年以来過去2番目に低い水準となる 7.6%を記録しました。
ロシアルーブルは、隣国グルジアとの5日間紛争や、商品市場の下落、金融市場の混乱によりリスク回避が起こった結果 1999年の第四四半期以来となる四半期ベースで8.6%の大幅下落を記録することになりました。月次ベースでも前月の 5.1%の下落に続く 3.1%の下落となりました。8月の頭から9月中旬までに 570億米ドル相当の資金がロシアから海外に流出したものと見られております。ロシア国内の株式指数の一つ、Micex も、9月の一ヶ月で 取引中止が2回ありましたが、2001年以来の記録では初めてとなる 24%の下落を記録しました。また、中央銀行は通貨防衛の為に外貨準備残高を使っていることから、200億米ドル以上の残高の減少が見られており、このことも対ドル安の一因となっております。
政府は当初 1000億米ドル相当の資金を銀行間の資金流動性確保の為に準備していましたが、月末にさらに 500億米ドル相当の資金を追加することで銀行システムの安定を目指しました。一方で、MosPrime と呼ばれる、ロシアの銀行間貸し出し金利は上昇し、17日に 11.08%、19日に 8.12%を記録したのち、一旦下落して 4.3%に落ちつたものの、月末に向けて再び上昇し、30日に 8%を記録しました。
8月の生産者価格上昇率は、特に海外からの資本投資の増加が年率換算で前月の 9.9%から7.9%と緩やかになっていることを受けて、未だ 3年半ぶりの高水準ではあるものの、年率換算で31.6%と前月の33.7%から減速しております。月次ベースでは 0.5%の上昇でした。小売売上は8月、年率換算で 14%の伸び率を記録しました。他方、可処分収入の上昇率は年率で 6.9%と前月を下回りました。
第二四半期の経済成長率は 7.5%を記録しましたが、第一四半期の 8.5%を下回りました。資本流入の減速も一因となっておりますが、国内企業における原材料の価格上昇と人件費の上昇なども成長を減速させる一因となっております。今年前半の海外直接投資は 111億米ドルと前年と比較して 30%減少しております。
インドルピーは世界的な信用収縮により投資家による資金の質への逃避が起きていることから、過去5年での対ドル安水準となりました。月次ベースでも1997年11月のアジア通貨危機以来となる 6.2%の下落を記録、この第3四半期でも1992年3月以来となる 9.2%の対ドル安を記録しました。四半期ベースで3期連続での下落となりました。海外投資家は今年に入り株式市場で 92億米ドル売り越し、2007年に取得した株式の半分を売却したと見られております。ボンベイ証券取引所のセンセックス指数は2001年以来の年次ベースでの下落を記録しつつあります。
インドの8月の貿易赤字は原油価格の高騰により 139億米ドルと前年同月比で2倍に膨れあがりました。輸入が299億米ドル、51%増加と過去7ヶ月で最も高い伸び率を示した一方で、輸入は 160億米ドルと 27%の伸び率に終わりました。2倍になった原油価格が輸入コストを引き上げた要因の一つです。13年ぶりの高インフレで弱くなったルピーに対して、石油精製業者はドルで支払うためそのコストが増加することになるのです。その一方で世界的な需要の減少により衣料品、鉄製品、電気機器といった主力の輸出の成長伸び率が減速しております。
インフレの指標とされる卸売物価指数の伸び率は 13日終了週で過去12ヶ月で 12.14%上昇を記録しました。5週間ぶりの低水準が継続していることからインフレ対策として6月から3回連続で引き上げられている政策金利が維持され、金融機関の破綻などによる信用収縮から世界的に銀行間貸し出し金利が上昇する中、次月以降の資金調達コストが維持されると見られております。しかしながら、年初来 3倍となった燃料や食品価格により16年来の高いインフレ率を保っております。
工業生産成長率は 7月、7.1%と5ヶ月ぶりの高水準と記録しました。これは中央銀行による金利引き上げの影響の出る前の結果であることから、減速することが予想されております。
中国人民元は、23日に一度はペッグ制廃止後最高水準となるレートになったものの、9月の最終取引日となる 26日、ペッグ制廃止後最大となる0.48%の下落率を記録しました。この第3四半期を通じても、0.1%とペッグ制廃止後もっとも少ない上昇率にとどまりました。輸出企業の保護や世界経済の混乱のなか経済成長を優先させるために当局が高騰を抑えるとの観測があります。
景気の拡大・後退を判断する製造業購買担当者指数 (PMI) は9月、51.2 と前月の 48.4から3ヶ月ぶりに 50を回復しました。4四半期連続の経済成長率鈍化に対応する為に政府は、7月以降、成長押し上げと雇用の保護を目指し、融資規制緩和や中小企業への貸し出し促進、衣料品・繊維メーカー向けの輸出税優遇措置拡大を推進しました。また、6年ぶりに利下げを実施したことや元の上昇ペースを抑制しています。
今年8月までの製造業の収益は、原材料価格の上昇と経済成長の冷え込みから昨年同時期の半分程度に留まっています。2008年8月までの8ヶ月間の純利益は 19.4%増加の2740億米ドル相当で、昨年同時期の成長率は37%でした。中国経済が第2四半期で10.1% と4四半期連続で減速する中、8月は、輸出需要の減少、電力不足、そしてオリンピックのための操業停止などから過去6年で最も低い成長に留まりました。8月の鉱工業生産成長率は前年同月比で12.8%とこの6年で最も低い伸び率を示しました。一方、生産者価格上昇率が 10.1%と1996年以来の早いペースに加速しております。
政府は15日に6年ぶりとなる金利引き上げを踏み切ることで借り入れコストの削減と貸し出し規制の緩和を行うことで景気促進と雇用維持を意図しています。
8月の輸出は 21.1%増加と、7月の 26.9%増加から減少しております。世界経済の減速による需要後退が中国経済の成長鈍化に影響していると見られております。他方で貿易黒字は8月単月で 283億米ドルと過去最高となりました。
インフレの指標となる消費者物価指数の伸び率は8月に4.9%と減速し、中国政府の目標とする 4.8%に近づきましたが、経済成長も同時に減速しているこの状況は中国政府にとって過去20年以上で初めてのことで、その難しい対応に迫られております。
8月の不動産価格の上昇率は 7月の7%から5.3%と、1年半ぶりの低い伸び率に留まりました。
8月の小売売上成長率は7月の 23.3%に引き続き、過去12ヶ月で 23.2%増加の 1280億米ドル相当でした。
所得の増加により消費の増加を支えていることで、1999年以来の早いペースを維持しております。都市部での可処分所得の増加率は2008年の最初の6ヶ月で8,065元と 14.4%上昇、地方でも 2,528元と 19.8元の上昇しています。インフレ調整後でも、それぞれ 6.3%と10.3%の上昇率をしめしています。
8月の1-8月の海外直接投資は前年同月比 41.6%増の677億米ドル、単月では20.7%増の70億米ドルでした。
さて、一応生きて帰ってきました。
なんちゃって世界一周旅行も完成し(笑)欧米の不況感を肌で味わってくる結果に
なった訳ですが、しかし、本当に今回はすごいですね。
ある意味、リーマンの飛んだ Bloody Sunday から始まり
# 実際は、その前の Bear Sterns から、とかGSE がとかいろいろと言い方はあるのですが
一気に世界が様変わりした、そんな感じにも見える一方、
よくよく見ると、時計の針が急激に逆回転している市場の動きが見えて来たりと
不思議な感覚に襲われるような気がしてなりません。
今回の私の世界一周旅行がいつブログにこうやって書けるのか、それが今一番の
気がかりですが、どうもこの毎月のレポートを書くに留まらざるを得ないようです。。。。
ということで、ちょっと仕事優先で(苦笑)
先月のBRICs を振り返ってみましょう。もはや、ファンダメンタルズの強みや、
前月までの経済成長とインフレ対策の両立といううれしい悲鳴はどこかに消え去り、
投資家の急速な逃避行動の中で自国の経済の安定を模索せねばならなくなってしまいました。
9月の BRICs をはじめとする新興国市場は、数ヶ月前までに懸念とされていたインフレと経済成長の両立問題といったムードが大手証券会社の倒産を端に発する米国発の世界的な金融危機と、それと前後して反転し始めた商品市場の下落とともに消し去られ、日々10年に一度と言われる高騰下落を繰り返しながら、経済の安定への道筋を模索することとなりました。
ブラジルレアルは、世界的な信用収縮の影響と商品市場の下落を受けて、このひと月で対ドルで17%安を記録しました。26日には6.1%と1999年1月以来となる一日での大幅な下落率を記録し、2007年8月以来の1米ドル 2レアルの水準にまで値を戻すこととなりました。
このレアル安によりレアル高を予想していた輸出企業にダメージを与えることとなりました。また、信用収縮が世界的に広がる中で、8月は自動車などの購入の為の個人向けが伸びた一方で、9月は国内での貸し出しも減速しております。中央銀行は金融危機に対応すべく、銀行に求めていた預金準備率を引き下げることで市中の余裕資金を増やしました。
株式市場も 29日はボベスパ指数が10%下落したことから日中の取引が中断し、中断後も値を下げてこの日一日で12%下げました。また、8月の一ヶ月で 136億米ドル相当の資金が市場から海外に流出したと見られております。
ブラジル国営の開発銀行は、現在の緊縮した信用市場での国内企業への融資を援助する為に、150億レアルの資金注入を 財務省から受け、来年までに 950億レアルの融資を予定しました。
9月の貿易収支は、28億米ドルの黒字と前月末の 22.7億米ドルから増加しました。輸入が 8月の175億米ドルから 173億米ドルに減少し、輸出が 197億米ドルから200億米ドルに増加したことによります。
国内のインフレ指標となる、IGP-M価格指数9月に年率で 12.31%と、8月の13.63%や過去5年でもっとも高かった7月の 15.12%から2ヶ月連続で減速しております。月次ベースでは前月の 0.32% の下落に対して0.11%上昇しております。月中のインフレ指標である IPCA-15 指数も中央銀行による金利引き上げのペースの減速が予想されることを受けて 0.26%の上昇と3月以来の低水準となりました。食料品以外の価格の上昇は 0.41%と前月の 0.38%から上昇しておりますが、食料品価格が 0.25%下落したことにより相殺されました。消費者物価指数である IPCA指数の8月は月次で 0.28% と2年ぶりとなる低水準になりました。商品価格の下落がインフレの減速の要因となっていますが、サービス価格で 0.73%の上昇、政府規制のない食品以外の商品の価格も0.5%と、食品以外の価格の上昇は継続しております。
過熱した国内需要の軽減を狙った4月以降の中央銀行による3回の金利引き上げは、結果として予想外で1995年以来となる年率換算で 6.1%の第二四半期の経済成長率のもたらすことになりました。これを受けて10日にさらに政策金利を0.75%引き上げて過去2年でもっとも高い水準である 13.75%としました。
国内企業が年末までに 200万人と記録的なペースで雇用を増やしていることから、8月の失業率は2001年以来過去2番目に低い水準となる 7.6%を記録しました。
ロシアルーブルは、隣国グルジアとの5日間紛争や、商品市場の下落、金融市場の混乱によりリスク回避が起こった結果 1999年の第四四半期以来となる四半期ベースで8.6%の大幅下落を記録することになりました。月次ベースでも前月の 5.1%の下落に続く 3.1%の下落となりました。8月の頭から9月中旬までに 570億米ドル相当の資金がロシアから海外に流出したものと見られております。ロシア国内の株式指数の一つ、Micex も、9月の一ヶ月で 取引中止が2回ありましたが、2001年以来の記録では初めてとなる 24%の下落を記録しました。また、中央銀行は通貨防衛の為に外貨準備残高を使っていることから、200億米ドル以上の残高の減少が見られており、このことも対ドル安の一因となっております。
政府は当初 1000億米ドル相当の資金を銀行間の資金流動性確保の為に準備していましたが、月末にさらに 500億米ドル相当の資金を追加することで銀行システムの安定を目指しました。一方で、MosPrime と呼ばれる、ロシアの銀行間貸し出し金利は上昇し、17日に 11.08%、19日に 8.12%を記録したのち、一旦下落して 4.3%に落ちつたものの、月末に向けて再び上昇し、30日に 8%を記録しました。
8月の生産者価格上昇率は、特に海外からの資本投資の増加が年率換算で前月の 9.9%から7.9%と緩やかになっていることを受けて、未だ 3年半ぶりの高水準ではあるものの、年率換算で31.6%と前月の33.7%から減速しております。月次ベースでは 0.5%の上昇でした。小売売上は8月、年率換算で 14%の伸び率を記録しました。他方、可処分収入の上昇率は年率で 6.9%と前月を下回りました。
第二四半期の経済成長率は 7.5%を記録しましたが、第一四半期の 8.5%を下回りました。資本流入の減速も一因となっておりますが、国内企業における原材料の価格上昇と人件費の上昇なども成長を減速させる一因となっております。今年前半の海外直接投資は 111億米ドルと前年と比較して 30%減少しております。
インドルピーは世界的な信用収縮により投資家による資金の質への逃避が起きていることから、過去5年での対ドル安水準となりました。月次ベースでも1997年11月のアジア通貨危機以来となる 6.2%の下落を記録、この第3四半期でも1992年3月以来となる 9.2%の対ドル安を記録しました。四半期ベースで3期連続での下落となりました。海外投資家は今年に入り株式市場で 92億米ドル売り越し、2007年に取得した株式の半分を売却したと見られております。ボンベイ証券取引所のセンセックス指数は2001年以来の年次ベースでの下落を記録しつつあります。
インドの8月の貿易赤字は原油価格の高騰により 139億米ドルと前年同月比で2倍に膨れあがりました。輸入が299億米ドル、51%増加と過去7ヶ月で最も高い伸び率を示した一方で、輸入は 160億米ドルと 27%の伸び率に終わりました。2倍になった原油価格が輸入コストを引き上げた要因の一つです。13年ぶりの高インフレで弱くなったルピーに対して、石油精製業者はドルで支払うためそのコストが増加することになるのです。その一方で世界的な需要の減少により衣料品、鉄製品、電気機器といった主力の輸出の成長伸び率が減速しております。
インフレの指標とされる卸売物価指数の伸び率は 13日終了週で過去12ヶ月で 12.14%上昇を記録しました。5週間ぶりの低水準が継続していることからインフレ対策として6月から3回連続で引き上げられている政策金利が維持され、金融機関の破綻などによる信用収縮から世界的に銀行間貸し出し金利が上昇する中、次月以降の資金調達コストが維持されると見られております。しかしながら、年初来 3倍となった燃料や食品価格により16年来の高いインフレ率を保っております。
工業生産成長率は 7月、7.1%と5ヶ月ぶりの高水準と記録しました。これは中央銀行による金利引き上げの影響の出る前の結果であることから、減速することが予想されております。
中国人民元は、23日に一度はペッグ制廃止後最高水準となるレートになったものの、9月の最終取引日となる 26日、ペッグ制廃止後最大となる0.48%の下落率を記録しました。この第3四半期を通じても、0.1%とペッグ制廃止後もっとも少ない上昇率にとどまりました。輸出企業の保護や世界経済の混乱のなか経済成長を優先させるために当局が高騰を抑えるとの観測があります。
景気の拡大・後退を判断する製造業購買担当者指数 (PMI) は9月、51.2 と前月の 48.4から3ヶ月ぶりに 50を回復しました。4四半期連続の経済成長率鈍化に対応する為に政府は、7月以降、成長押し上げと雇用の保護を目指し、融資規制緩和や中小企業への貸し出し促進、衣料品・繊維メーカー向けの輸出税優遇措置拡大を推進しました。また、6年ぶりに利下げを実施したことや元の上昇ペースを抑制しています。
今年8月までの製造業の収益は、原材料価格の上昇と経済成長の冷え込みから昨年同時期の半分程度に留まっています。2008年8月までの8ヶ月間の純利益は 19.4%増加の2740億米ドル相当で、昨年同時期の成長率は37%でした。中国経済が第2四半期で10.1% と4四半期連続で減速する中、8月は、輸出需要の減少、電力不足、そしてオリンピックのための操業停止などから過去6年で最も低い成長に留まりました。8月の鉱工業生産成長率は前年同月比で12.8%とこの6年で最も低い伸び率を示しました。一方、生産者価格上昇率が 10.1%と1996年以来の早いペースに加速しております。
政府は15日に6年ぶりとなる金利引き上げを踏み切ることで借り入れコストの削減と貸し出し規制の緩和を行うことで景気促進と雇用維持を意図しています。
8月の輸出は 21.1%増加と、7月の 26.9%増加から減少しております。世界経済の減速による需要後退が中国経済の成長鈍化に影響していると見られております。他方で貿易黒字は8月単月で 283億米ドルと過去最高となりました。
インフレの指標となる消費者物価指数の伸び率は8月に4.9%と減速し、中国政府の目標とする 4.8%に近づきましたが、経済成長も同時に減速しているこの状況は中国政府にとって過去20年以上で初めてのことで、その難しい対応に迫られております。
8月の不動産価格の上昇率は 7月の7%から5.3%と、1年半ぶりの低い伸び率に留まりました。
8月の小売売上成長率は7月の 23.3%に引き続き、過去12ヶ月で 23.2%増加の 1280億米ドル相当でした。
所得の増加により消費の増加を支えていることで、1999年以来の早いペースを維持しております。都市部での可処分所得の増加率は2008年の最初の6ヶ月で8,065元と 14.4%上昇、地方でも 2,528元と 19.8元の上昇しています。インフレ調整後でも、それぞれ 6.3%と10.3%の上昇率をしめしています。
8月の1-8月の海外直接投資は前年同月比 41.6%増の677億米ドル、単月では20.7%増の70億米ドルでした。
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