スマートインベスターのためのオフショア投資とヘッジファンド—心構えから、設立、運用まで

4/23/2009
(注)このコンテンツは 2005年8月31日の記事の採録です。


久しぶりのブックレビューですね。
最初は、前回の続きで、ヘッジファンド関連でご紹介しましょう。



この本の説明の前に、一つぶち上げておきましょう。

そもそも、ヘッジファンドとは、名前は格好良さそうに聞こえますが、
これも単なる「私募」の形態を取る運用主体への投資、なのですが、
諸般の事情から国外で行っている、にすぎないのです。
それに、ある意味「コスト」を掛けてその名前の通り「ヘッジ」して
利益をまず固定化してしまう、という投資手法ですから、当然相場の
方向性に左右される市場の指数とは別の動き方をして当然ですし、
# してなければ、相場の方向性にベットしている投資信託と変わらないです。
それゆえ絶対リターンが得られる、というものだと思います。
むろん、市場の方向性というリスクを取らない代わりに取っているリスクを
内包し、それを享受する訳ですが。。。

で、なんでこんなぶち上げ話をしたか。
ヘッジファンドに限らず、投資信託をも含めたファンドと呼ばれる
投資主体に投資する事、というのは、基本的にはその投資主体を運営する
人たちの投資に対する考え方(投資モデル)とそのモデルにあるリスクと目標リターンに
乗っかって運用してもらう/させる、ということかと思うのですが、
そう考えたとき、大事であって、かつ気にしなければならないことがあるのです。

それは、投資後のリターンと元本の回収です。
国内で証券会社に口座をあけて、株に投資して、ある程度勝ったら、
ポジションを全部売って現金化して口座から回収すれば、まぁ実質
一週間あれば出来るでしょう。
# 株の決済は取引日の3営業日後、かつ証券会社がお金をリリース出来るのはその翌日。

でも、複雑なことを行っているヘッジファンドの人たちが、そんなに簡単に
ポジションの一部を現金化して支払えるでしょうか。
株のロング/ショート戦略のファンドであれば、株の流動性にかなり依存しますが、
まぁ、ひと月のうちにほぼ全額回収可能かもしれません。
でも、つぶれかかったバリュー企業の再生ファンドみたいに、株や債券の
流動性の乏しい投資を行っているところでは3ヶ月から1年かかるでしょう。

それに、これだけ一生懸命リスクとって、稼いでもらって、の結果の収益に対して
国が税金をかけてくるのも投資家としては問題です。
せっかく、20%の運用益をくれたとしても、それが株のファンドの配当となった
場合には、下手すると26%の株式譲渡税がかかる可能性があります。
そう、節税の知恵は大事ですし、実際にクロスボーダーの案件において
無駄に税金を払う事で投資全体で見た収益がなくなってしまうのは本末転倒です。

ところで、よく言う話ですが、10%をピンハネするやくざさんと、
20%を税金で持って行く税務署とどっちがひどいと思う?という
答えは当然後者でしょう。投資行為からの収益に対する増税は
元は「不労所得」という見られ方をしているかもしれませんが、
実際には、リスクを取る、もしくは最小化をはかっているという
知恵の結晶であることから、実はそれを言われると、
「金持ちと貧乏とで政府の行うべきサービスに違いは有ってはいけないし、
とならば、そのサービスの対価である税金は所得割りではなくて
頭割りの方がよっぽど公平感が有ると思うのですが。。。

ですので、いかにして合法に節税を行えるファンドかどうか、は
税金に対するコスト負担がどれだけしっかり出来るかによります。
まぁ、法的な構成はある程度知恵は出された感はありますが、言い換えれば
これらを取らない投資主体の法的構成というのには、何かしらの
前提条件もしくはせっかく運用益が出なくとも、最終的な経済的負担を強いられることになります。

源泉徴収で税金に対するリスク感を持たない、一般的なサラリーマンにはおすすめです。
要は、税金っていろいろな局面で、こんなに人生の負担が重かったのか、ということを
再認識するのにちょうどいい材料であり、投資の運用スタイルなんてのは
法的構成をしっかり捕まえていればさほどの違いはなく、税金の問題を
どうクリアーして行くか、という、投資手法とは別の次元で本来悩むべきところなのです。

ということで、一度腰を据えて読んでみてください。
いい勉強になりました。少なくとも、なぜ金持ちが海外に逃げるのか、よくわかると思います。

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