ドビュッシーの羨望とは???

4/25/2009
(注)この記事は2006年1月6日の記事の再録です。

久しぶりにCD レビューでもやりましょうか。
The Art of Noise は1990年には事実上息の根が止まったはずでした。
結局 Below the waste の後に出てきたものはその後の
音楽家たちの解釈による再構成にすぎなかった、と言ってしまえば
それまで、ではあったものの、その間に、実はAON は復活の準備をしていたのです。

実際、1998年に Drum'n'base collection が出たあたりから、AON のオフィシャルサイトで
新しい「レコード」の限定配布を行うにあたり、
「なぜあなたがそのレコードを受け取るに値するか説明せよ」
という提起をなされていて、本気で
「I am the last person in Japan to love AON.(私がAON を好きな最後の日本人だから)」
と書いてやろうと思ったくらいでした。

そんな中、こんなアルバムが発表されたのです。




1999年に発表されたこのアルバム、その過去8年近くに発表された
Remix ではなく、完全なオリジナルの新作が連ねられていたのです。

なお、このときの AON は
Trevor Horn
Paul Morley
Anne Dudley
と、本当の意味でのオリジナルの AONのメンバーに
10cc の Lol Creme が参加したのですが、ここで
JJ と Gary がいない事に気づくのです。ある意味、 AON の
techno の骨格を作り上げていたのが、JJであり、エンジニアの
Gary であった訳ですから、彼ら抜きの AON とは一体どんな AON なのでしょう。

オープニングの Il Pleure から、かなりピアノ主体の曲が続くものの、
Poet reading あり、Drum'n'base のリズムが後ろをしっかり固めていたり、と
案外(?)新しい AON らしい、そう音の奇抜さが目につくものの、実は
現代音楽の骨格がしっかりして骨のある音楽、という 80年代初頭の
Close to the edit の頃とあまり本質は変わらない、と気づくのにさほど時間はかかりませんでした。

時として、Metaforce のようなコマーシャルに明らかに走っている曲は
あれど、基本筋としては、Claude Debussy のピアノ曲の旋律をテーマとした
コンセプトアルバムとしてよく出来ていると思います。その結果、あらゆるタイプの
音を耳にするものの、CDの演奏時間よりもあっという間に終わってしまう、そんな
感じにさせられる、とても引きつけられるアルバムでしょう。

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