BRICs Watch - November 2008
(注) この記事は 2008年12月24日の記事の再録です。
さて、サンタさんがそろそろ空に飛び立とうとする今、皆さんはクリスマス気分で
浮かれていらっしゃるんでしょう。
残念ながら、海外と働く私には、彼らが休みに入る前に片付けなければいけない
仕事があるのでそうもいってられません。。。(TT)
で、一番の大仕事がこれ。
なんとか間に合いそうです。
あと2回、がんばるしかありません(苦笑)
11月の新興国市場は、引き続き世界的な景気後退局面の中、G20会議の中で世界経済でのそのプレゼンスを高めつつも、投資家による資本逃避による市場の混乱といかに組しながら国内経済の減速を押さえられるかが課題となりました。
ブラジルレアルは
最終週に高利回りな国内資産の割安感に投資資金が流入したもの、国外への輸出の2/3を鉄鉱石やコーヒー、原油等を占める中、引き続き商品市場の下落により海外からのドルの流入が減少したことを受けて下落傾向にありました。商品価格は今年の6月末をピークに下落しております。
国内のインフレは、その指標となる消費者物価、建築材価格、卸売価格の3つからなる IGP-M 指数が 前月から 0.38%上昇と前月同時期比の 0.98%から減速傾向にあります。卸売価格が予想以上に下落しましたが、これは商品市場の下落が、この3ヶ月で 30%近く下落しているレアルの下落による原価コストの上昇を相殺したことによると見られております。他方、消費者物価の指標となる IPCA-15指数は11月中旬までの過去12ヶ月で 6.54%の上昇、また10月の IPCA指数も年率で 6.41%の上昇とそれぞれ 2005年7月以来の高い水準になっております。
ブラジルの中央銀行は、9月19日から 11月21日の間、外貨準備残高から63億米ドルを投じることで、金融危機によって枯渇する恐れのあった市場流動性を高める事により自国通貨の防衛を行ったことを明らかにしました。ブラジルの外貨準備残高は2057億米ドルと通貨防衛にもかかわらず増加しております。
ブラジルの経常赤字は10月、15.1億米ドルと、9月の 27.7億米ドルから予想以上に縮小しておりました。レアル安が海外旅行や世界的な企業による本国への利益の送金を押し留めることから今月も引き続き縮小するものと見られております。しかし、外国投資家による国内株式市場からの資金引き上げは、10月までの5ヶ月連続と、過去4年で最も期間で起きております。
ロシアルーブルは
原油価格の下落に付け加えて、中央銀行が外貨準備の減少を避けるべく通貨防衛体制を緩和し、ルーブルの下落を容認したことから最終週にユーロに対しても5年ぶりとなる週次騰落率での大幅安を、また通貨管理の対象となる通貨バスケットに対してもバスケットを導入した2005年2月以来の下落幅を記録しました。8月以降、対米ドルで 16%の下落し、その通貨防衛の為に 1480億米ドルを外貨準備残高から費やし、11月21日の週末時点での残高は 4499億米ドルにまで減少しました。また、この8月以降海外の投資家の資金のうち 1900億米ドルが海外に流出したものと見られております。ロシアは、アイスランド同様自国通貨からさらなる資金流出を止める為に政策金利であるリファイナンス金利を月中に一度1%引き上げ、さらに12月1日から1%引き上げる事を決定しました。
一方、ロシアの銀行間取引の翌日物金利であるMosPrimeは 17日、22.67%を記録しました。これは10月20日に記録した 21%を超える過去最高の利率ですが、銀行はそれぞれの顧客の納税準備の為の資金調達が必要となった事から資金需要がおう盛になったことで上昇したと見られております。
クレジット・デフォルト・スワップ市場でロシア国債の保証コストは上昇しました。中央銀行がルーブル相場の許容変動幅を拡大した事や、資金流出阻止を目指し政策金利を引き上げた事がリスク意識を高めたと見られております。
対外貿易収支は10月、単月で 79億米ドルと前月比で半減しました。前年同月比で、輸出が2%伸びて 355億米ドルであった事に対して輸入が 24%上昇の 276億米ドルでした。
インフレは10月に 14.2%を記録しました。
10月の生産者価格の上昇率は単月 6.6%に減速し、年換算でも 17.4%と、2007年10月以来の低い伸び率を見せました。小売売上高の伸び率も10月は 12.3%と前月の 14.2%から減速しました。
10月の失業率は 6.1%上昇しました。工業生産の減速を受け、経済成長の鈍化の兆しが見えてきました。
インドルピーは
月初に1998年以来の週次上昇率を見せて対ドル高に動いたものの、海外投資家による株の売却と資金引き上げにより下落に転じ、前月末からわずかに下落した形で月を終えました。海外投資家による株式の売り越し額は、10月に過去最高となる 42.7億米ドルに達しました。これは9月の13億米ドルの3倍以上で、9月の米大手証券会社の破綻以降信用危機の悪化から投資家による回避が起きたものと見られております。
インドの輸出は10月、前月同時期比で 12.1%の下落と過去 7年で初めて下落に転じました。欧米といった主要な市場での不況が影響したものと見られております。
インドの外貨準備残高は21日現在、2458億米ドルですが、前の週には 5.5億米ドル減少しておりますが、減少の要因は保有する外貨の対ドル高によるものです。
今年インドの外国人投資家は 128億ルピーの株を買い、171億ルピー売っていることから 43.6億ルピー(1.08億米ドル)の売り越しとなっております。
インドの7-9月期のGDP成長率は前年同期比 7.6%増と4年ぶりの低成長率に終わりました。世界経済
が景気後退基調にある中で、国内経済を支える為にさらに利下げに踏み切るとの見方が広まりました。
その中、27日にムンバイで起きた同時多発テロは投資家心理に投資を控える傾向に向かう懸念がありますが、テロの翌日には市場も再開した事から、テロの影響による市場の下落は限定的になるとも見られております。
9月の鉱工業生産者指数は、国内企業が10月のヒンズー教の宗教行事の前に在庫を積み増した事から、前年同月比 4.8%の上昇と伸びが加速しました。
インフレは、その指標となる卸売価格の15日までの1年での上昇率が 8.84%とこの6ヶ月で最も低いものとなりました。8月に記録した過去16年で最も高かった 12.91%から2/3にまで減速しましたが、世界的な景気後退により原油やその他の商品価格が引き下げられた事に起因していると見られております。中央銀行も指標となる貸出金利を、1日付けで7.5%に引き下げました。
中国人民元は
月中に一旦上昇を見せたものの、21日の週にはひと月ぶりの大幅下落を記録し、月次ベースでみるとほぼ横ばいで終わりました。輸出業者の保護と景気低迷を防ぐ為に当局が元の上昇を抑制しているとの見方が背景にあります。
10日に政府は内需拡大を目指し、4兆元規模も景気刺激策を発表しました。国内総生産のほぼ5分の1に相当するこの策は社会資本の充実や設備投資への税制優遇、低所得者への生活補助や小規模企業への融資制限の撤廃等含まれました。
中央銀行は26日、1年物の貸出金利を1%以上引き下げました。これは過去11年で最も大きな引き下げ幅になります。また、預金準備率も引き下げられる事で、月初に発表された4兆元(およそ5860億米ドル)規模の政府による景気刺激策を金融面から援護する意図があると見られております。
10月の輸出は前年同月比19.2%増となり、伸びが9月の21.5%増から鈍化しました。貿易黒字は 352億米ドルと過去最大を更新しました。輸入が前年同月比 15.6%増と9月の21.3%増から伸び率が低下した事を反映しております。
年初から10月までの固定資産投資は前年同月比で 27.2%増となり、前月からの伸びが鈍化しました。また、10月の鉱工業生産も前年同月比 8.2%増と増加率が 9月の 11.4%を下回ったことで7年ぶりに低い伸びに留まっています。輸出が冷え込む中、一段の景気減速が色濃くなっている状況を示唆することになりました。
他方、小売売上高は前年同月比 22%増と9年ぶりの高い伸びを維持しております。国内消費の増加が当面の経済成長の支援材料になると見られております。10月の消費者物価指数は前年同月比 4%増と、9月の4.6%から減速し、1年5ヶ月ぶりの低い伸びを示しました。また、生産者価格指数も 前年同月比6.6%上昇と、9月の 9.1%増から減速しました。食料供給の改善とエネルギー等の商品価格の下落が要因と見られております。
生産活動の指標となる中国製造業購買担当者指数(PMI)は、11月、40.9 と10月の45.2から大きく低下するとともに、過去最低の水準となりました。
さて、サンタさんがそろそろ空に飛び立とうとする今、皆さんはクリスマス気分で
浮かれていらっしゃるんでしょう。
残念ながら、海外と働く私には、彼らが休みに入る前に片付けなければいけない
仕事があるのでそうもいってられません。。。(TT)
で、一番の大仕事がこれ。
なんとか間に合いそうです。
あと2回、がんばるしかありません(苦笑)
11月の新興国市場は、引き続き世界的な景気後退局面の中、G20会議の中で世界経済でのそのプレゼンスを高めつつも、投資家による資本逃避による市場の混乱といかに組しながら国内経済の減速を押さえられるかが課題となりました。
ブラジルレアルは
最終週に高利回りな国内資産の割安感に投資資金が流入したもの、国外への輸出の2/3を鉄鉱石やコーヒー、原油等を占める中、引き続き商品市場の下落により海外からのドルの流入が減少したことを受けて下落傾向にありました。商品価格は今年の6月末をピークに下落しております。
国内のインフレは、その指標となる消費者物価、建築材価格、卸売価格の3つからなる IGP-M 指数が 前月から 0.38%上昇と前月同時期比の 0.98%から減速傾向にあります。卸売価格が予想以上に下落しましたが、これは商品市場の下落が、この3ヶ月で 30%近く下落しているレアルの下落による原価コストの上昇を相殺したことによると見られております。他方、消費者物価の指標となる IPCA-15指数は11月中旬までの過去12ヶ月で 6.54%の上昇、また10月の IPCA指数も年率で 6.41%の上昇とそれぞれ 2005年7月以来の高い水準になっております。
ブラジルの中央銀行は、9月19日から 11月21日の間、外貨準備残高から63億米ドルを投じることで、金融危機によって枯渇する恐れのあった市場流動性を高める事により自国通貨の防衛を行ったことを明らかにしました。ブラジルの外貨準備残高は2057億米ドルと通貨防衛にもかかわらず増加しております。
ブラジルの経常赤字は10月、15.1億米ドルと、9月の 27.7億米ドルから予想以上に縮小しておりました。レアル安が海外旅行や世界的な企業による本国への利益の送金を押し留めることから今月も引き続き縮小するものと見られております。しかし、外国投資家による国内株式市場からの資金引き上げは、10月までの5ヶ月連続と、過去4年で最も期間で起きております。
ロシアルーブルは
原油価格の下落に付け加えて、中央銀行が外貨準備の減少を避けるべく通貨防衛体制を緩和し、ルーブルの下落を容認したことから最終週にユーロに対しても5年ぶりとなる週次騰落率での大幅安を、また通貨管理の対象となる通貨バスケットに対してもバスケットを導入した2005年2月以来の下落幅を記録しました。8月以降、対米ドルで 16%の下落し、その通貨防衛の為に 1480億米ドルを外貨準備残高から費やし、11月21日の週末時点での残高は 4499億米ドルにまで減少しました。また、この8月以降海外の投資家の資金のうち 1900億米ドルが海外に流出したものと見られております。ロシアは、アイスランド同様自国通貨からさらなる資金流出を止める為に政策金利であるリファイナンス金利を月中に一度1%引き上げ、さらに12月1日から1%引き上げる事を決定しました。
一方、ロシアの銀行間取引の翌日物金利であるMosPrimeは 17日、22.67%を記録しました。これは10月20日に記録した 21%を超える過去最高の利率ですが、銀行はそれぞれの顧客の納税準備の為の資金調達が必要となった事から資金需要がおう盛になったことで上昇したと見られております。
クレジット・デフォルト・スワップ市場でロシア国債の保証コストは上昇しました。中央銀行がルーブル相場の許容変動幅を拡大した事や、資金流出阻止を目指し政策金利を引き上げた事がリスク意識を高めたと見られております。
対外貿易収支は10月、単月で 79億米ドルと前月比で半減しました。前年同月比で、輸出が2%伸びて 355億米ドルであった事に対して輸入が 24%上昇の 276億米ドルでした。
インフレは10月に 14.2%を記録しました。
10月の生産者価格の上昇率は単月 6.6%に減速し、年換算でも 17.4%と、2007年10月以来の低い伸び率を見せました。小売売上高の伸び率も10月は 12.3%と前月の 14.2%から減速しました。
10月の失業率は 6.1%上昇しました。工業生産の減速を受け、経済成長の鈍化の兆しが見えてきました。
インドルピーは
月初に1998年以来の週次上昇率を見せて対ドル高に動いたものの、海外投資家による株の売却と資金引き上げにより下落に転じ、前月末からわずかに下落した形で月を終えました。海外投資家による株式の売り越し額は、10月に過去最高となる 42.7億米ドルに達しました。これは9月の13億米ドルの3倍以上で、9月の米大手証券会社の破綻以降信用危機の悪化から投資家による回避が起きたものと見られております。
インドの輸出は10月、前月同時期比で 12.1%の下落と過去 7年で初めて下落に転じました。欧米といった主要な市場での不況が影響したものと見られております。
インドの外貨準備残高は21日現在、2458億米ドルですが、前の週には 5.5億米ドル減少しておりますが、減少の要因は保有する外貨の対ドル高によるものです。
今年インドの外国人投資家は 128億ルピーの株を買い、171億ルピー売っていることから 43.6億ルピー(1.08億米ドル)の売り越しとなっております。
インドの7-9月期のGDP成長率は前年同期比 7.6%増と4年ぶりの低成長率に終わりました。世界経済
が景気後退基調にある中で、国内経済を支える為にさらに利下げに踏み切るとの見方が広まりました。
その中、27日にムンバイで起きた同時多発テロは投資家心理に投資を控える傾向に向かう懸念がありますが、テロの翌日には市場も再開した事から、テロの影響による市場の下落は限定的になるとも見られております。
9月の鉱工業生産者指数は、国内企業が10月のヒンズー教の宗教行事の前に在庫を積み増した事から、前年同月比 4.8%の上昇と伸びが加速しました。
インフレは、その指標となる卸売価格の15日までの1年での上昇率が 8.84%とこの6ヶ月で最も低いものとなりました。8月に記録した過去16年で最も高かった 12.91%から2/3にまで減速しましたが、世界的な景気後退により原油やその他の商品価格が引き下げられた事に起因していると見られております。中央銀行も指標となる貸出金利を、1日付けで7.5%に引き下げました。
中国人民元は
月中に一旦上昇を見せたものの、21日の週にはひと月ぶりの大幅下落を記録し、月次ベースでみるとほぼ横ばいで終わりました。輸出業者の保護と景気低迷を防ぐ為に当局が元の上昇を抑制しているとの見方が背景にあります。
10日に政府は内需拡大を目指し、4兆元規模も景気刺激策を発表しました。国内総生産のほぼ5分の1に相当するこの策は社会資本の充実や設備投資への税制優遇、低所得者への生活補助や小規模企業への融資制限の撤廃等含まれました。
中央銀行は26日、1年物の貸出金利を1%以上引き下げました。これは過去11年で最も大きな引き下げ幅になります。また、預金準備率も引き下げられる事で、月初に発表された4兆元(およそ5860億米ドル)規模の政府による景気刺激策を金融面から援護する意図があると見られております。
10月の輸出は前年同月比19.2%増となり、伸びが9月の21.5%増から鈍化しました。貿易黒字は 352億米ドルと過去最大を更新しました。輸入が前年同月比 15.6%増と9月の21.3%増から伸び率が低下した事を反映しております。
年初から10月までの固定資産投資は前年同月比で 27.2%増となり、前月からの伸びが鈍化しました。また、10月の鉱工業生産も前年同月比 8.2%増と増加率が 9月の 11.4%を下回ったことで7年ぶりに低い伸びに留まっています。輸出が冷え込む中、一段の景気減速が色濃くなっている状況を示唆することになりました。
他方、小売売上高は前年同月比 22%増と9年ぶりの高い伸びを維持しております。国内消費の増加が当面の経済成長の支援材料になると見られております。10月の消費者物価指数は前年同月比 4%増と、9月の4.6%から減速し、1年5ヶ月ぶりの低い伸びを示しました。また、生産者価格指数も 前年同月比6.6%上昇と、9月の 9.1%増から減速しました。食料供給の改善とエネルギー等の商品価格の下落が要因と見られております。
生産活動の指標となる中国製造業購買担当者指数(PMI)は、11月、40.9 と10月の45.2から大きく低下するとともに、過去最低の水準となりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿