BRICs Watch - December 2008

4/28/2009
(注) この記事は 2009年1月27日の記事の再録です。

今年も引き続き、あと少しだけ続けます、このネタ。
しかし、この商品も実は既に投資している債券も償還を迎え、
ファンドの最終買戻を待つばかりとなっております。
従って、今月の前半をちょっとまとめたレポートを来月書いて
でも、それも採用されるのかどうかあやしいところだったり(笑)

しかし、振り返ると2008年の前半は BRICs はイケイケどんどんで
インフレをどうやって退治しようかということばかりが問題に
なっていたのに、後半は、気づいたらインフレはどこかに消え
ついでに国の経済成長もどこかに消えそうなのをどうやって
支え続けよう、という問題に入れ替わってしまいました。

ある意味、一寸先は闇、ということなんでしょうか。。。
確かに、ただいま Cash is King 、で過去の為替レートをふまえると
円からドルやユーロ、ポンド等など、ほとんどの通貨に対して
勝っているので、世界中どこに行っても見えないレッドタグが
日本人にはみえるのでしょう。。。

しかし、そんな日はいつまでつづくんですかねぇ。
ある意味見たような気がするけど全然別の道を歩いて行く
のでしょうから、何が得策なのやら。。。

新興市場は2008年の一年を振り返ると、インフレ退治が年の前半のテーマであったものの、その背景となった通貨高と商品相場高が反転した結果、株式の大幅下落や通貨防衛や景気刺激策など、反転した経済成長の維持にテーマが代わることになりました。

ブラジルレアルはこの12月を終えて35%下落した 2002年以来となる、-24% の年次騰落率を記録しました。好調な商品価格とインフレ調整後の高金利を背景に8月1日に9年ぶりの最高値となる1米ドル 1.5545 レアルを記録した後、世界的な信用不安により経済成長が停滞し、商品価格も下落し、新興国への投資も減少した事で、8月1日以来およそ33%下落しました。12月中は月次騰落率でみるとほぼ横ばいでしたが、月初に商品価格の下落に伴って3年ぶりの安値をつけましたが、月の後半に大型の減税策の発表する事で景気を刺激し、また商品価格が反転したことから投資資本が回帰し、また政府に寄る景気刺激策への期待感から一日で 3% 以上続伸したことで前期末の水準まで値を戻しました。

株式も、米国や中国での経済成長の減速から商品需要が減退し、世界的な金融危機からリスクの高い投資から投資家が手控えている事も受けて年次では下落しました。天然資源関連の割合が大きい66銘柄から構成されるボベスパ指数は 5月20日に最高値となる 73,516.81 を記録してからほぼ半分近くまで下落し、年次騰落率でも過去6年で初めての下落となる-41%を記録しました。

インフレは、消費者物価、卸売物価ならびに建設価格をから構成される指標、IGP-M価格指数で12月の月次成長率が -0.13%と予想外の下落をみせました。これは 8月の -0.32% 以来の下落で、前月は 0.38%上昇しております。これにより翌月の中央銀行の会議にて9月以来据え置いている 13.75%の基準金利を金利引き下げとなるのでは、との観測も出て来ております。年率換算の成長率でも 9.81%と4月以来の低水準です。月中に発表される消費者物価指数、IPCA-15指数も前月の +0.49%から+0.29%と減速しました。年次でのインフレ率も前月の6.54%から 6.10%に減速し、政府目標であった 6.5%の上下 2.5%の範囲に収まる事にはなりました。また、中央銀行もインフレのリスクは軽減したとの見方を示しております。

他方、GDPは、第三四半期において、年率換算で 6.8%と第二四半期の 6.2%から過去4年でもっとも加速した形になりました。

11月の貿易収支は、世界的な経済成長の減速を見越しての国内産業による重工業や原材料の輸入の減少により、貿易黒字が拡大しました。

ロシア・ルーブルは対通貨バスケットで年次騰落率で -17%を記録し、2005年に通貨管理の為の米ドルとユーロの通貨バスケットを導入して以来最も下落した一年でした。また、対米ドルでもこの一年で1999年以来となる19%下落しました。ロシアの主要輸出品である原油価格が75%下落し、投資家の資金が国外に引き上げられた事が主因です。8月のグルジアとの戦闘以来、2000億米ドルが国外に流出したとの試算もあります。
12月は、中央銀行が景気後退懸念が高まる中、通貨防衛体制の緩和から対ユーロや対米ドルに対して6週間で11回もの切り下げを行ったことから大きく値を下げる事となりました。

世界第三位の外貨準備金残高を中央銀行が通貨防衛に使った事から、8月以来残高は 27%減少し、格付け会社もこの準備金の急速な減少を理由に今月、ロシアの格付けを9年ぶりに引き下げました。

株式は、国内で最も取引のある Micex 株式取引所での取引がこの秋 30回停止し、RTS株式指数も年間で72%ゲ下落し、2007年に時価総額第3位だったOAOガスプロムは 47位に後退しました。

11月の貿易収支は引き続き黒字を保っていますが、前年同月比で半分となる71億米ドルに留まっております。
また、11月の工業生産成長率は 1998年の経済危機以来の水準である、8.7%の縮小を記録しました。
第三四半期の経済成長率は 6.2%と、前四半期の 7.5%から減速しました。世界的な経済危機の影響を受けた形となりました。

インド・ルピーは世界的な金融危機により海外投資家が新興市場からより安全な資産にシフトした事を受けて、1991年以来の年次下落率を記録しました。12月には対ドルで過去最安値を記録したのち反転し、一旦は米国金利の引き下げからの妙味で投資資金が流入し、2か月半ぶりの高値となりましたが、さらに反転したことで12月の月次騰落率はわずかに上昇したものの、年次騰落率は -19.2%でした。

株式も指標となる Sensex 指数も今年 52.5%下落しましたが、債券はインフレの減退により金利引き下げが進んだ事を受けて、2001年以来の高騰を見せました。

輸出は 2001年以来となる減少を記録し、10月の工業生産成長率も輸出の減速と国内需要の停滞を背景に、15年ぶりの下落となる、-0.4%を記録しました。

インドの経常赤字は第三四半期で過去最大に広がりました。原油価格の高騰と通貨安により輸入コストが増加した事によります。貿易と投資資金の流入出からなる経常収支の、その赤字幅は前四半期の98億米ドルから 125.4億米ドルに広がりました。

インフレは、指標となる卸売物価上昇率が12月13日までの過去12ヶ月で6.61%と過去9ヶ月で最も遅いペースになりました。政府目標の 7%を安定して下回っている事から中央銀行は既に10月20日から 12月6日までに9%から6.5%にまで3回の引き下げを行いましたが、更なる金利の引き下げを行う余地が出来たものと見られております。

中国人民元は12月の月次騰落率としては0.2%の上昇とほぼ横ばいでしたが、政府が資本流出を促すとの懸念から、景気てこ入れに向けた元安誘導を控える兆候が見られた事を背景に、ペッグ制廃止後の年間ベースでは過去最大の上昇となる 7.05%の上昇を記録しました。

インフレは11月、消費者物価伸び率が前年同月比で2.4%と過去1年10ヶ月で最も低い伸び率を記録しました。食料品価格が 5.9%上昇と過去2年で最も低い伸び率を記録しましたが、食料品以外の製品の価格の上昇も同様に 0.6%と過去4年で最も低い伸び率に留まりました。消費者物価伸び率の前年同月比は2月に12年ぶりとなる高水準の8.7%を記録しましたが、商品相場の下落と食品価格の伸び率が小幅に留まっている事からインフレ後退につながったと見られています。
生産者価格伸び率も11月は 2%の上昇に留まっております

中国の輸出伸び率は11月、世界的な需要の冷え込みから過去7年で初めて-2.2%と減少を記録しました。
輸入も、-17.9%と減少しましたが、こちらは商品価格の下落と工業と建設での原材料への需要の削減によるものでした。
中国の工業企業の2008年11月までの11か月間収益伸び率は経済成長の減速による需要の冷え込みと商品価格の下落が大きく影響し+4.9%と、前年同月の36.7%と比べて大幅減となる過去最低の伸びを見せました。
また、工業生産伸び率も、世界的な景気後退から輸出需要の伸びが鈍化したことにより11月は5.4%と1999年以来最も遅い伸び率を記録しました。
小売販売伸び率も11月までの過去12ヶ月で20.8%と10月までの22%から減速しております。自動車販売が 7.7%と半減し、不動産販売と価格の下落から建築材の消費も減少しました。都市部での販売伸び率の減速が倒産や失業等の要因により顕著に現れております。

中央銀行は 22日に基準金利を0.27%引き下げて 5.31%に、また預金金利も同じく0.27%引き下げて 2.25%に引き下げました。また、合わせて預金準備率も 0.5%引き下げました。2009年4-6月期に行われる大型の景気刺激策が導入されるまで金利は引き下げ続けられるものと見られています。

都市部固定資産投資は、11月までの11ヶ月間で前年同期比で26.8%と前月までの10ヶ月間での伸び率 27.2%から減速しています。不動産販売が伸び悩み、世界的な景気後退を背景に輸出が減少に転じる中、伸びが鈍化しました。

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