今さら、でも個人的には気になる、この春の。。。貸金業法施行令の改正

って、タイトル、変ですよね。ええ、わかってます。
なんで、今さら貸金業法なの?って。shi ってあんた、

ファンドの人なんだから貸金業法関係ないじゃん。

って、声、うっすらと聞こえてます。うっすらですが。

でも、実際、ファンドと貸金業法、切れないケースがちょこちょこあるんですよ。

ファンドの投資ってのは、一般的には上場株やそこそこ流通している債券、ですけど、そんなものじゃあリターンはある程度限られてくるわけで、だから、株式投資だって、上場ものだって流動性の高い大型株から流動性の比較的薄い小型株に移行するケースがあったり、さらにはグリーンフィールド、しまいには非上場株式という流動性の代わりに怪しさの高い投資になるわけですし、債券投資だって、国債から地方債、社債と官から民にリスクが高い方に行くし、同じ会社の社債だって普通の社債から、転換社債、MSCBやら銀行なら CD /SB からバーゼル規制対応のための複雑怪奇な CoCos のようなキャピタルストラクチャーで劣後して株式的側面を持つところに移行したり、民の中だって社債の出せない/出さないところに銀行が貸し付けて市場に流すバンクローンや CLO/CDO みたいなクレジットリスクの高い方に流れたり、と、身の丈にあった資本調達と、リスク/リターン追及のために様々な商品があるわけですよ。

そんな中、投資で確実に収益をあげよう、といえば相対での貸し付けなわけですよ。としたら、プライベートエクイティやベンチャーキャピタルで株式で既に投資している先に追加で貸し付けて税務的/財務的に収益をまず吸い上げちゃえ、もしくは中短期的な資金ニーズを解消させよう、というツールとしての貸し付け、というのは、当然にあるわけなんです。

というものの、日本で金貸しをしようと思ったら、銀行以外は貸金業法への登録をしないといけないのは、まっとうな企業から、一昔前までは闇金融のおにーちゃんたちまで、画一的に同じだったわけです。

とはいえ、書いている本人の知識が証券化をやっていた 2005年で止まっていたので、今回、某法律事務所さんのセミナーで実は今参入するのに純資産で 5000万円ないと出来ないという話を聞いて、あ、これは個人の闇金参入防止なのね、と思ったり(という一方で、あの当時疑問だったのは、闇金な人たちって、ある種の違法行為と自認していた可能性があるのに、わざわざ貸金業の登録をみんなそろってしてたなぁ、ということがあったのを思い出しました)。

しかも、やれ総量規制だ、取り立てのなんちゃらだ、テストに受かったなんちゃらを会社に必ず一人は置けだ、当局への報告がなんちゃらだ、ということで、ある意味、グループ内の資金効率を良くするために、お金の余っている子会社からお金を吸い上げて足りてないところに貸し出すのも貸金業法登録が必要で登録したけど、とか、ただの器でしかないファンドが貸金業法に登録して単に投資対象の会社数社にだけお金を貸しても

「グループ内のリソースを有効活用したいだけなのに」
「普通にお金を貸して回収してリターンを上げたいだけなのに」

一言でいえば登録は手間と金が掛かりすぎる。

となるので、困ったことになってしまってた、のが今年の3月末まで。そんな話を聞いてきましたが、まぁ、今回はそんな話です。とはいえ、グループ内のキャッシュマネジメントシステムの話は、個人的にはファクタリングとかうまく使えばいいのに。。。と証券化をしていたころにあちこちの会社グループに思っていたことなのでそういう話は好きですが、一応ファンドの人なんで、そちらは割愛して、ジョイントベンチャー投資に対する規制緩和の話を踏まえて、思ったことに絞ってみようと思います(って、既に枕で十分話が吹っ飛んでますが。。。)




ジョイントベンチャー投資の時の規制緩和、どういうこと?

簡単にまとめると、(1) 複数の独立した投資家(国は問わず、会社でも組合でも)が一つの会社等に契約に基づく共同支配している状態において、(2) すべての投資家や出資者の同意のもとで融資する際において、(3) 20% 以上の議決権を保有する投資家が融資する場合には貸金業登録は不要、というもの、が、まぁ、法律の素人がざっくりまとめるとこんな感じ。

ちなみに、一人/ひとつの投資家が一つの会社等を支配する状態、だと基本子会社みたいなものなので、親子間の融資だから当然貸金業の登録が不要なのは容易にわかる。これって、PEやVC をするときに、国内の投資有限責任組合が単体で買い切っている状態を指しますな。

となると、ファンドがらみでこの問題のケースってどういう状態がよくありそうか、というと、

一つは国内投資有限責任組合と、その組合員の一部とが共同投資している状態。
まぁ、これは国内で話が閉じているし、ありがちな話なのと、個人的にこのケースはきっと得意な人が多いはずなので割愛(笑)

もう一つは、国内投資有限責任組合と、海外のリミテッドパートナーシップと(そして、それぞれの裏側にいる組合員が別途単独で共同投資家として入るケースもある)が共同投資する状態。
これは、同じPE/VCの運用者が国内と海外とで投資家を募った時に起こる状態ですが、日本国内ではさほど多くはない事例のはずなので、ちょっと触れてみようかと。

というのも、海外投資家については株式の売却益に対する源泉徴収のルールとして有名な 25%/5% ルール、というものがあって、ざっくりと説明するならば、海外投資家が投資対象企業の25%以上を保有し、それを5%以上売却する際にはその収益から源泉徴収される、というものなのです。で、この源泉徴収されたものは、まぁ、頑張って租税条約等にしたがえば回収しえるかもしれない、という厄介なものなので、日本向け投資をする海外のリミテッドパートナーシップや持ち株SPC を作るときには 25% を超えないようにするのが趨勢だったりするんです。

となると、投資対象の株式保有比率が 25%/5% ルールを勘案すると 25%未満、でも、貸し付けによるリターンも目指そうとするならば 20%以上、にしないといけない、ということになりますね。

すると。。。国内投資家と海外投資家の比率がうまーくいい感じにならないと、この手が使えない、可能性があるわけです。単純に言えば、内外比率が 70%:30% だと、25%/5% ルールを気にして、どうしても 15% ずつ、になってしまいます。とすると海外からの投資では貸付でのルートまでは手が出せない、ということか。

あと、気になったのが、JV の時に株主間で契約を交わしておく必要がある、という点。同じ運用者が複数の組合等を運用するので、不文律として事実上その運用者が支配している、という実態を作るわけですが、JV契約を国内外の組合間で締結する、と明文化するいうことに、確かに組合間では独立しているのですが、実態を見て同一の運用者による一体化した支配じゃないか、ということで税法上等でなにか突っ込まれないかしら、と。まぁ、文書がなくとも事実上は一体化しているわけですが。。。


さて、このあたり、まぁ、個別案件で融資からの収益を狙うファンドが出てきたら色々と実務的な面でチャレンジしてくれる人が出てくるとは思いますので、今後注目ですな。って、自分でしないのか?と言われそうですが。。。何分そんなファンドに縁がないものでして。。。

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