今時の上場の意義とは?

ガンジー島での会議というのは、実はご当地の取引所、Channel Islands Stock Exchange (CISX) とでした。ちなみに、先週のロンドン滞在中も London Stock Exchange の AIM のトップの方とお会いしました。

というのも、うちの会社を上場させるため。。。なんて、話ではありません(笑)
CISX は、うちの会社のジャージー島の部隊が CISX の listing agent で過去いくつかの debt securities を上場させていることから、たまに来たから私の紹介がてらに顔を出そうか、というご挨拶程度のもので(苦笑)、AIM はというと、東京証券取引所の Tokyo AIM の担当で LSE から派遣されている人にロンドンに行くなら紹介するよ、ということでお会いさせて頂いた、というところで、まぁ、その意味では軽いといわれれば軽いのですが(苦笑)、どちらも、上場のニーズとかを知りたいのでいろいろ聞いてきてくれます。そりゃそうですよね、上場銘柄数が取引の増加を生んで、取引コストを取引所に落としてもらえるのですから、ニーズの発掘は最優先になりますよねぇ。


さて、CISX と AIM (あとは Tokyo AIM)の共通点は、といえば、私たちがよく見る TSE や HKSE、NYSE などと違って、債券やファンドの投資持ち分も上場対象にしているという点があげられます。他方で上場の際の手続きや必要とする開示条件などで違いがあるのでそこが取引所間の競争にもなり、面談中にお互いに自分のところがいいんだ、とアピール合戦になるところでもあります。で、ファンドを生業の一つとしている為、当然彼らの質問は決まっていますよね。

「日本で上場ファンドのニーズってどうなの?」

そりゃあ、ありますよね。 ETF なら(苦笑)
じゃあ、その他のファンド、例えばヘッジファンドとかの持ち分について上場していることに投資家の優位性があるのか、という取引所が最も知りたいだろう質問に対してはどうでしょう。答えは否、なんですよねぇ。

個人投資家にとっては証券会社の窓口などで買えてしまえばファンド自体が海外で上場しているかどうかはあまり気にならないですものね。海外から持ち込む際にも上場している事は特に条件でもないですし。
とはいえ、法人の投資家、特に機関投資家だと少し意味合いが違いますよねぇ。(私は個人的には好きではないのですが)格付け会社が投資適格格付けをつけた債券にのみに投資できる、というのと同じく、上場していることを投資の前提にしているところもないわけではない、という理解ですが、他方で上場が重要か、というと、ヘッジファンドだとファンド・オブ・ファンズが発達してゲートキーパーによる投資の際の定性的かつ定量的調査などが行われるので、(悪く言えば)ゲートキーパーに丸投げ(して投資の際の判断の責任をおわせることを)すればいいので社内稟議の際の投資適格性の根拠としての重要性は薄くなっているような気が個人的にはしています。

って、ここで、根本的な問題が起こります。
そもそも、上場の目的ってなんでしたっけ?(笑)
なにもステータスのため、じゃないですよね(爆)
上場する側にすれば、上場させる事で多くの市場参加者に取引されるようにすることであり
また上場させた事で市場参加者に対して流動性の提供も出来る、なんてあたりがあげられてしかり、なのにどうでしょう。投資家の上場に対するニーズの議論が流動性ではなく、上場できる程度の品物だから、というステータスのため、とは。。。

とはいうものの、確かに流動性の提供の議論をするならば、AIM はおろか、どの市場であっても売り買いの参加者の集中化を図っているだけなので確実な流動性なんてものは存在しない訳(ETF も指数だからといってちゃんとカバーする必要があるからには大丈夫なんて事はないはずですが、その理解でいいですよね?)で、そうなると他に取引所が投資家に提供するものはある一定の「基準」(一定の財務内容を維持する事であったり、情報開示義務をはたせることであったり、あとは。。。なんでしょう(笑))なのかもしれません。

とすると、その一定の基準の維持のコスト(常にいいますが、金銭で計れるコストだけではないですよ。時間的コストとか人的資源的コストなどなど)と上場によるメリットが相応であるならば上場する、もしくは上場を維持することになる訳ですが、コストが高ければ上場しないで相対でわかってもらえる投資家にだけ保有してもらう、という決断になるんだと思うんですよね。

他方、投資家にしてみれば、上場しているからとはいえ、開示情報が少ない、読みづらいとなれば投資商品として吟味しない、という投資家が出る訳ですが、日本の場合は。。。それがほとんどなんでしょうね。少なければ相対で情報を取りに行くことで投資案件を発掘する、ということがなく、並べられた商品でよさそうにみえるものを選ぶ、んでしょうねぇ。それも市場の観点から言って成熟する方向には決して向かわないような気がするのですが。。。

なんて書いているとだんだんネガティブになりそうですが、なんとかしたいですよねぇ、この何ともいえない低迷感。どうしたらいいんでしょう。。。

ちなみに、これ、AIMを含めた取引所をどうこう言う気はないですよ。
# これだけ言っておいて何を言う、といわれそうですが。
何事もニーズの発掘は大事ですから。私もずっとそれで頭がいたいのですし。
それに、こういう取引所の必要性はあると思いますから。さもなければ
HKSE とか上海とかシンガポールとかの台頭でさらに日本が地盤沈下しますから。

問題は、じゃあ、自助努力でなんとかなるのか、というと、どうなんだろうなぁ、と。もう少し近寄る事の出来るちゃんとした理解のある、反対側にいる人たちが増えて欲しい、ということにつきてしまうようにも思うのですが、どうも、この業界はその反対側の人たちが神様、ですので。。。うーん。

0 件のコメント:

Copyrights Emichanproduction, 1996 - 2011. Powered by Blogger.