BRICs Watch - May 2008

4/27/2009
(注) この記事は 2008年 6月29日の記事の再録です。

今さっき、emichan が植木市から帰ってきました。
「雨が降ってたから、もう終わっちゃってたぁ(TT)」
そりゃそうですよね。日曜の夜に、しかも雨が降っていたら客足だって期待できないですから。。。

ということで、今月の、いや、今年の植木市が終わったということは、もうすぐ7月なんですよね。
ええ、明日一日で終わりですよ。6月。。。なのになのに。。。

やっと

まとめましたよ、BRICs Watch!
今月なんでこんなにはまったか。何の事はない。
月の頭に片付ければいいものを後半にまわし、
後半は香港出張のときに片付けようとしたらドタバタして出来ず
で、最後の一週間も予想外にはまったことで書くための時間を作れず

こんな日曜の夜に泣きながらやっている訳です。。。

で、来月は後半にまたロンドンやジャージーへの出張を控えてますから、来月こそは早めに。。。

あ、ちなみに、このシリーズはファンドの償還とともに終わりますので
今回入れてあと7回の予定です。皆さん、指折り数えて付き合ってくださいませ。

ところで。資料を作っているときに見つけたのですが、今シンガポールが世界一の億万長者大国になったそうです。
といっても、この話はそうなるだろうとは思っていました。スイスの口座に関する秘密主義がEU各国からの
圧力で解除される方向で進め始めたときから、スイスのプライベートバンカーがシンガポールの支店に
口座の資金を移すように顧客を誘導していた、という話でしたので、移住すらいとわない人たちですから
資金とともに移り住んだのでしょうね。
同様な話があるのは、日本のヘッジファンドマネジャーたち。彼らも日本からシンガポールに
大挙して移住しています。事情は二つあって、一つは投資顧問免許と法制度の問題が明確でないことに
あるのですが(これはどうも当局も動いているらしいですが。。。)もう一つは税の高さにあります。
どんなに稼いだとしても法人税で 40%取られて、かつ個人の所得税でも 40%取られるとあれば
17%程度しか税金の掛からない国に移動して、クリアーな法制度の下でファンドの運用をしたいと
思うのは当然でしょうね。。。

あーあ、そういう口実が欲しいなぁ(爆笑)
私の場合は日本にいてなんぼですからねえ。。。

ということで気を取り直して、BRICs Watch、行きましょうか!


5月の BRICs 諸国をはじめとする新興国市場は、原油や金属市場などの商品価格の上昇に支えられる形で株式市場が回復し、MSCI新興市場株指数も年初来の下げを消してプラス圏に戻りました。しかしながら、商品価格、特に食品価格の上昇などの要因で各国のインフレ率は上昇し、その抑制と国内経済の安定化を模索する月でもありました。

ブラジルレアルは月次騰落率で 2.2%の上昇でした。米国の格付け会社、Fitch Ratings は29日、記録的な商品輸出が外貨準備金残高や南アメリカ最大の経済の成長を改善した事を受けて、前月の Standard & Poors に続いてブラジルの対外債務格付けを BBB- と投資適格格付けに引き上げた。これに伴い、リーマン投資適格債券指数にブラジル国債が加えられ、また機関投資家の一部は最低二つの投資適格格付けがついた国の証券にのみ投資できないことから、ブラジルがさらに資本市場でよりより資金調達ができるようになります。この格上げを受けてブラジルレアルは対ドル高を過去9年間で最高値のレベルまで押し上げました。

1991年以来始めて、1-4月期の財政黒字を記録しました。これは経済成長を背景に税収が増えた事が要因です。しかしながら、経常赤字は過去6年で最大幅を記録しました。国内の経済成長により、輸入を促進し、また国内での収益を国外に送金していることによります。他方、海外直接投資も4月までの12ヶ月で 372億米ドルという記録的な流入額があったことで米ドルの残高不足という懸念を和らげました。4月の貿易黒字は 17.4億米ドルと3月の 10.1億米ドルから拡大しました。輸入が 3月の 116億米ドルから 124億米ドルに増加したのに対して、輸出も 126億米ドルから 141億米ドルに増加しました。

価格指数のうち、最も幅広く卸売、消費者並びに建築物のそれぞれの価格をカバーする IGP-M 価格指数は 5月に 1.61%上昇しました。前月の 0.69%に比べて大幅上昇で、過去5ヶ月で最高の伸び率を示しました。特に卸売価格がインフレ率以上の上昇率を示した事で中央銀行が6月に金利を引き上げるとの見方で、これによりブラジルレアル高は進みました。なお、年率での IGP-M価格指数の上昇率は 11.53%と過去3年でもっとも高い数値です。

月中に公表される消費者物価指数である IPCA-15は12ヶ月で 5.25%と過去2年でもっとも早い伸び率を記録しています。米の価格が11.94%上昇し、今回のインフレ率の上昇の要因のおよそ半分を担ったように、食品価格は月次で 1.26% 上昇しました。
インフレ率の抑制のため、食品価格の抑制をめざし、世界最大の輸入高となる小麦の輸入関税の引き下げの検討を始めた。

4月の失業率は 8.5%と3月の 8.6%より若干改善されました。
3月の小売売上高伸び率は 11.4%。2008年第一四半期でも 12%の伸びとなりました。

ブラジルが設立するSWF はインフレ対策に使われる予定で、税収の一部、 80億米ドルで設立される予定。当初は外貨での国外への投資に使われる予定を国内のインフレ抑制を目的にレアル建てで使うよう、国内の問題を優先事項にするメッセージを前面に押し出した。ブラジルが SWFを設立するとの発表を受けてブラジルレアルは一度値を下げる展開になりました。


ロシアルーブルは、対米ドルで5日に3が月ぶりの安値をつけ1%以上下落したものの、月次騰落率は -0.3%にとどまりました。現在米ドル55%とユーロ45%の通貨バスケットに対して安定するように市場が調整されているため、対ユーロ高の進行によって対米ドルが下落したものと見られております。一方、4月にインフレ率が 14.3%と5年ぶりの高水準を記録し、消費者物価指数も 5月26日までの12ヶ月で 7.5%上昇している事から、インフレの抑制に向けて対バスケットでのルーブルの許容変動幅を拡大させることでルーブルの上昇を容認せざるを得ないものと予想されています。一方、中央銀行は 14日、ルーブルの上昇をもくろむ投機家を抑制する為に一般投資家のように外為市場で売り買いを始めると発表しました。従前より投資家はインフレ抑制の為に政府がルーブル高を押し進めると期待していましたが、今回の発表により市場の取引量が増える事で投資家はより慎重にならざるを得なくなるのです。

付け加えて、28日が期限となる法人税(総額 106億米ドル相当額)の納税の為にロシア企業がルーブル調達のために収益であった米ドルを売却したという需要が背景にあったものと見られています。

ロシアの外貨準備金残高は 23日までに過去最高の 5481億米ドルまで増加しました。

4月の純資本流入は 200億米ドルでした。第一四半期の純資本流出は220億米ドルでした。

生産者物価指数の伸び率は3月と同じく 4月も年率 27.4%の増加。4月の工業生産成長率も 9.2%上昇。


インドルピーは月末に向けて、国際的な信用不安の軽減や、海外資金の流入を促すために企業による海外での借り入れ規制の緩和が明らかになった事や経済成長率が市場の予想を上回ったことからこの 13週間での最安値から反転させました。しかしながら、予想外のインフレの加速により5月は月次騰落率で -4%を超える下落をみせ、依然年初からでも7.3% 下落しております。世界的な信用不安や3年半ぶりの高インフレにより今年に入り海外のファンドによって株式指数と債券21億米ドル売り越され、市場の指標となる株式指数も年初来で 19%下落しております。

インドの中央銀行は石油精製業者の原油価格の高騰に伴うコスト負担軽減のため政府が業者に対して発行した債券を中央銀行が外貨で購入することを発表しました。これにより石油精製業者は引き続き燃料等を原価を下回る価格で供給できるようになるとのこと。今年に入って原油価格は 33%上昇したのに対してその精製業者による外貨調達の影響が大きく、年初からルピーは 7.3%下落しています。この債券スキームで外為市場での需給バランスを調整できればとの期待があります。
政府は、石油精製業者のほかにも、インフレ抑制のためも鉄鋼やセメントの価格の引き下げを求めることで、指標となる金利を過去6年で最高の利率である現状にとどめようとしています。
また、過去二ヶ月の間に食用油や鉄鋼製品の輸入関税を撤廃し、セメントや食用の豆、米、小麦、油などの輸出を禁止しました。また、投機による価格抑制の為、大豆油やゴム、ひよこ豆やじゃがいもの先物取り引きを禁止しました。

3月の輸出伸び率は、世界的に経済成長が伸び悩み、衣料品や鉄鋼などの輸出が減少する中ルピー高も手伝って、26.6%と年間目標を達成できませんでした。しかしながら、4月の輸出の伸び率は 30%と、前年同時期の 19.5%を大きく上回る予想。全体の20%を占めるインドの主な輸出品目である工学財の輸出が 4月に大きく押し上げられた事が要因。

外貨準備金残高は23日現在 3162億米ドルに達しました。

GDP成長率は2008年第一四半期で 8.8%と市場予想であった 8.1%を上回ったものの、2005年以来の弱い状況にあります。内訳として、製造業がこの3ヶ月で 5.8%と半減し、農業も 2.9%と停滞しました。建築は12.6%とこの2年で最も伸び率が高いです。
GDP 成長率の2008年3月末までの12ヶ月で 9%と前年同期比の 9.6%を下回る結果に。

農業生産伸び率は 2008年3月期で 3.5%と予想よりも早い伸び率に、他方で
工業生産伸び率も、2008年3月期で 3%と、前月の 8.6%に比べて減速が鮮明に。
6年ぶりの高金利により自動車やバイクなどの商品が買い控えられていることが要因。

インドの工業労働者の消費者物価指数の伸び率は前月の 7.87%から 7.81%にわずかながら減速。
インフレの目安となる卸売価格指数の過去12ヶ月の伸び率は3日の週で 7.83%、10日の週で 7.81%、そして17日の週で 8.1%と過去3年半で最も高い水準での加速傾向にあります。食料品の価格の上昇がインフレを押し上げる形になっています。

インドの財政赤字は 2008年3月期で通年目標の 90.4%、305億米ドル相当に押さえられました。


中国人民元は対ドルで26日に1米ドルあたり6.9366元とペッグ制廃止後の最高値を記録した後、翌27日に一方的な上昇を見込んでの投機資金の流入を抑制するとの見方から今年最大の下げ幅を記録したものの、依然月次ベースで+0.66%と上昇しました。

人民元の主要貿易相手国の通貨バスケットに対する今年の上昇率は昨年の実績を既に上回っております。ユーロや円等で構成される人民元の貿易加重指数は年初来 3.5%の上昇と、昨年の 3.4%を上回っております。対ドルでの人民元上昇が停滞する中で同指数では4月以降だけで2%上昇しております。これは最大の貿易相手国である欧州当局の批判に対応するなかで、人民元の上昇がドルに対しては鈍化し、ユーロに対しては加速する可能性がありえます。なお、4月以降、対ユーロでは 2.6%、対円で 5.4%の上昇率を見せております。

中央銀行である中国人民銀行が、景気下支えよりもインフレが依然として最優先事項だとの「引き締め」型の政策の継続方針を示したことなどが背景にあります。また、中央銀行は世界的な需要鈍化や災害による混乱の影響で国内経済の成長ペースが今年緩やかに減速する可能性があるとの見通しを示しております。当局では、四川大地震により更なる原材料価格の上昇が起こり、インフレを加速させる恐れがあるとともに、輸入コストの上昇の影響もあわせて、既に年間のインフレ率の目標である 4.8%未満の達成が難しくなっているとも見ております。
中央銀行はまた、国内経済の過熱の要因の一つと見られている投機的資金の国内流入に引き続き警戒し、深圳にある銀行に 5万元(7,200米ドル相当)の非中国居住者の預金に関する報告を中央銀行が求めた、と伝えられております。深圳は香港からの資金流入の入り口でもあるため、当局による経済の不安定要素となる資金の監視が行われたものと見られております。

インフレ率をはかる消費者物価指数は、3月の 8.3%から 4月に 8.5%と1996年以来の高い水準に加速しております。特に食品価格がこのインフレを牽引し、4月までの1年間で 22%上昇しております。肉の価格はこの一年で 48%上昇し、小麦も 63%、世界の半分を消費している米は二倍以上になっております。そのため、冷凍豚肉や大豆食品の輸入関税の引き下げを決定しました。他方、非食品価格は 1.8%の上昇でしたが、原油価格は昨年一年間で 2倍に、銅も今年に入って以来 24%上昇しております。
また、卸売価格の上昇も少なくとも統計記録の残っている 1999年以来となる 10.3%を記録しました。このことを受けて、12日に中国人民銀行は預金準備率を 0.5%引き上げ過去最高の 16.5%にしました。

生産活動の指標となる中国製造業購買担当者指数(PMI)は、5月 53.3 と記録的だった4月の 59.2から大きく下がりました。世界的な経済成長の減速により中国製製品への需要が穏やかに減ったものと見られております。また、12日の四川での大地震も要因の一つと考えられております。
輸出の伸び率はアメリカの景気減速と世界的な信用不安から4月に 21.9%と 3月の 30.6%から減速しております。
また、輸出の伸びの減速をうけて、工業生産の伸び率も4月までの過去 12ヶ月で 15.7%増と 3月の 17.5%を下回りました。一方、輸入の伸びは26.3%増と3月の 24.6%増から加速しました。その結果、4月の貿易黒字は 167億米ドルと、昨年同月とほぼ同水準でした。

2008年1-4月期の都市部固定資産投資は前年同時期 25.7%増となり、市場予想であった 26%や1-3月期の25.9%からは下回ったものの、中国経済の過熱リスクに対する当局の懸念を裏付けた。
また、四川大地震後の復興事業などで、投資の伸びが加速する可能性があるとも見られております。

4月末の外貨準備金残高は 1兆7600億米ドルに達しました。3月までの1年間で残高が1兆6800億米ドルと30%増加していることから、更なる資金の流入を押さえて4月に記録した11年ぶりのインフレを抑制したいと考えているとみられております。他方、海外直接投資額が年初来4ヶ月で前年同時期比で 59%増に達しております。

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