BRICs Watch - March 2008

4/27/2009
(注) この記事は 2008年4月24日の記事の再録です。

ということで、気づいたら、もう4月も第三コーナーを回ってました。
しかも、今日改めて気づいたのですが、新しい会社を走らせ始めてもうすぐ6ヶ月経つんですねぇ。
びっくりしました。

会社として求められる仕事をしながら、会社を維持するための仕事も日々こなすのって
やっぱりきついですねぇ。まだ、正社員として来てくれる人がいない分、維持のサイドの
仕事がないのは助かるのですが(苦笑)その分自分で何でも、ってことですから
いくら時間があっても足りないです。。。誰か一緒に働きませんか(笑)
でも、いえ、真剣なんですよ。。。



さて、大変なのは世界経済の減速に引きずられつつある新興市場も同じようです。
海外から消化しきれないくらいの資金が入り込む、さらに貿易黒字で国内に資金が
滞留し始めると、確かにもうけた人はその分スーパーリッチになるのですが
その他方でだんだん貨幣価値がなくなるという意味のインフレが始まり、
経済の底辺にいる人たちの生活の保障のコストが掛かり始め、

さらに外的要因である商品価格の高騰が貿易黒字の牽引だったはずなのに
気づけば国内の物価高騰の原因にもなりつつある、この現実。
経済成長率とインフレ率のある意味競争になりつつあるものの、
更なる大前提だった、消費の中心であったアメリカの景気減速が消費の
スピードを落とす事で輸出の需要がなくなる、という新しいシナリオに急にかわりつつある。。。

さて、そんな次のステップに移行しつつある予感のある3月はどうだったのでしょうか。

3月の BRICs は米国景気の減速感に直接的にも間接的にも市場が動かされる局面が多かった一方で、世界的な
商品価格の高騰が各国のファンダメンタルズの改善の牽引役から一転してインフレーションの牽引役となって
ファンダメンタルズの不安要素を高めることとなり、市場にも影響をあたえることとなりました。

ブラジル・レアル
3月は月初に一旦は 9年ぶりの対ドル高水準に達したものの月次騰落率で -3.3%と 2007年11月以来の下落。
過去12ヶ月では 17.8%の上昇ではありましたが、米国金利の切り下げが18日に行われて金利差が広がったことで2ヶ月ぶりの急騰を見せたものの、対ドル高の抑制のための海外投資家への国内債購入に際する税金の導入や、米国景気の低迷で新興市場への投資が抑制されたとの見方、などから下落しました。


月次インフレ率を観測する際に参照される指数、IGP-M指数は前月の 0.53%から3月に 0.74%と上昇しました。卸売価格、特に原料の価格が2月の0.12%から3月に1.80%と大きく上昇したことによります。他方、消費者物価指数 IPCA-15 は食品価格や授業料の上昇が収まった事から、前月の 0.64%に対して、昨年の11月以来の低水準となる月率で 0.23%の上昇したものの、年率でも前月の 4.74%から 4.55%に減少しました。
11日に発表された2月の IPCA は 1月の 0.54%増加に対して 0.49%と2ヶ月連続の減速傾向を示しました。 しかしながら、年率でみると、目標の 4.5%を上回る 4.61%で、前年同期では 4.56%と上昇傾向にあります。

エコノミストはインフレ率の上昇が予想されたことにより、現在 11.25% であるベンチマーク金利の年末予想を0.75%引き上げた12%に変更しましたた。また、中央銀行もインフレ率が目標である 4.5%を上回るペースで進みつつある事を予想インフレ率を 4.3%から4.6%に引き上げた事で確認しました。


2月の失業率は 1月の8%から0.7%ポイント上昇した 8.7%でした。

過去二年でブラジルの家計の収入は 20%増加しましたが、これにより、家計が国内の自動車やコンピュータなどの商品の販売を底上げする牽引となったことを意味します。

銀行による貸出総額が2月に GDP の 34.9% に増加しました。政府による倒産リスク軽減策が功を奏した上、記録的な低金利と雇用率の上昇から自動車などの個人向けの消費が増え、近年ローンの需要が高まっていまる。北米やヨーロッパの先進国と比べてブラジルは貸し出し残高が低く、年末には40%になるものと期待されています。なお、平均的な銀行の貸し出し金利は 37.4% と、前月に比べて 0.01%上昇しましたが、政府も個人向けのローンの増加がインフレ要因にならないようにと注視しています。

2月の経常収支は、輸入の減少と海外送金額の減少から1月の 42億米ドルの約半分の 21億米ドルの赤字に赤字幅を減少しました。しかしながら、個人消費の増加による輸入の増加と対米ドル高に伴う企業による収益や分配金の海外移転が加速している事から2002年以来の通年での経常赤字を計上する公算がたっています。
2月の貿易黒字幅も8億8200万米ドルと5年前の水準にまで狭まっています。需要に対応すべく企業による海外での資本財の購入が増えた事が要因です。また、オレンジジュースやコーヒー、砂糖や大豆といった一次産品商品輸出が総輸出額の40%を占める中でこれらの商品価格の下落が貿易黒字幅の縮小につながりました(2007年: 400億ドルのところ3月ので時点で270億ドルへ)


世界経済の減速感や流動性の低下に伴う世界的な信用不安からブラジル国債の投資適格格付けの取得は遅れる見通し。
第4四半期のGDP成長率は予想以上の年率 6.2%で2004年6月以来の最も速いペースとなっております。

ロシア・ルーブル

ユーロの対ドルの上昇に引きずられる形で対ドル高に。

ロシア経済は、インフレが高止まりし、生産性が賃金上昇に遅れている事から、預金金利を引き上げても貯蓄にまわさず消費にまわすため「加熱」している。預金残高は第一四半期で 1.3%と前年同期比の半分程度しか増えず。1991年以来 4.1%程度人口が減少しているロシアでは、生産性の伸び率は経済成長率(2007年で 8.1%)より高いものの、16.4%だった賃金上昇率に届かない。また、交通、電力、通信といった脆弱な基幹インフラへの需要の高まりも要因の一つと考えられている。


年初2ヶ月続いた世界的な信用収縮によるロシアからの資本流出(およそ 200億米ドル)はこの3月で収まったものと見られています。2008年の資本流入予想は当初 400億米ドルとされていましたが、世界的な金融危機のリスクを考慮して 250億米ドルに減少しています。


ロシアの外貨準備残高は 引き続き上昇して 5022億米ドルに達しました。

2月の生産者物価指数は世界的なエネルギーや金属価格の高止まりを受けて、1月の 25.2%を上回る 26.4%と、過去3年来の上昇率を記録しました。月次ベースでも 0.6%上昇しました。3月の消費者物価指数の上昇は、月初から 中旬までで0.6%。2月は食料品と日用品の価格の上昇により月率で 1.2%。前年3月はひと月通じて 0.6%。

1月の貿易黒字幅は世界的なエネルギー価格の上昇により拡大しました。183億米ドルを計上しました。昨年12月は 137億米ドル、昨年1月は 98億米ドルでした。商品輸出の依存から脱却をはかりたいものの、未だ 輸出の75%を原油と天然ガスが占める一方、工業機械が輸入の 53%を占めています。


インド・ルピー
6四半期連続上昇を続けました。月次ベースでは 0.3%の下落でしたが今四半期では 1.8%の上昇を記録しました。ルピーは今年に入ってアジアの主要10通貨のなかで二番目に悪いパフォーマンスを記録しております。月の前半は原油高による米ドルへの需要、1月の貿易赤字幅の拡大、株式市場の下落による資金流出から6ヶ月来の底値まで下げましたが、17日に底値から反転し、米国での金利引き下げによる金利差の妙味から海外投資家による資金流入と輸出業者によるドル売りにより、月末までで1.5%戻しました。

株式市場は四半期ベースで -22.9%と1992年 6月以来の四半期ベースでの大幅下落しました。海外投資家はこの四半期で 28億米ドル売り越しています。

債券市場もインフレの影響で指標となる債券の価格が 2006年6月以来の月次ベースでの下落(金利で上昇)幅を記録しました。

卸売価格指数は食料品と商品価格の上昇に引き釣られて、8日の週で5.92%と10ヶ月ぶりの、15日の週で13ヶ月ぶりの高水準である 6.68%の上昇を記録しました。2007年11月最終週の凡そ2倍の水準にまで上昇しております。鉱工業生産成長率は1月に 5.3%と2007年の平均の凡そ半分の水準と減速傾向が鮮明になっております。


2007年第四四半期の経常赤字は 54億米ドルに拡大しました。(2006年同時期で 37億米ドル、第三四半期で 47億米ドル。)輸入の伸び(41.4%:671億米ドル)が輸出(34.9%: 417億米ドル)を上回ったことが要因です。2007年第4四半期までの9ヶ月では、160億米ドルの経常赤字でした。(前年同時期は 140億米ドル。)その一方で純資本流入は819億米ドルと、前年同時期の301億米ドルの2倍以上となっております。

3月で終了する2007年度の歳出超過は2月末の時点で予算の 73.4%にとどまっています。

外貨準備残高は 21日現在で 3047億米ドルとなりました。この週はおよそ2ヶ月ぶりの減少でしたが、対ドルのユーロや日本円の動きによるものでした。

中国人民元
28日の週に週間ベースで今年最大の上げ幅を記録し、1-3月期の上昇率が 4.2% と四半期ベースとしてはペッグ制の廃止後で最大の上昇率を記録しました。

11年ぶりの高インフレをを押さえるために、対ドル高の容認とともに金融政策の引き締めを強める方針を中央銀行が再確認しました。2月に消費者物価指数の 8.7%の上昇にもかかわらず、18日に今年二度目になる銀行の預金準備率を15.5%に引き上げたものの、基準金利を引き上げませんでした。その背景には金利引き上げによって海外からの資金が流入し、貿易黒字による国内資金供給に上乗せすることを避けるためと見られております。一方、対ドル高による輸入品の調達コストを下げ
る手法は商品市場の高騰により効果が薄いとみられている。

温家宝首相は18日、今年のインフレ率目標である4.8%の達成は困難との見方をしめし、インフレ抑制のために強力な措置を講じるとの方針を示した。

中国の製造業での収益伸び率は3年ぶりの低水準となりました。インフレーションの抑制のために1月に石油精製業者や電力会社の価格引き上げを禁止した事で、電力会社の収益は 61%減少しました。生産の伸び率は年初2ヶ月で 15.4%と、1年以上ぶりの低い伸びであったが、年初の大雪による電力供給と輸送の不具合によるものでした。輸出の伸び率も 6.5%と2年ぶりの低い伸び率にとどまりました。

鉱工業企業利益は前年同時期比16.5%と前年同時期の 44%増を大きく下回る結果に終わりました。

これらを反映して、CSI300指数も、17日に 4,000を割り込み、さらに18日の首相の発言を受け、8ヶ月ぶりの安値水準まで下落しました。1-3月期でも四半期ベースで過去最大の下落となりました。


2月の対中直接投資は依然として増加傾向で、前年同月比で38%増加の69億米ドル、年初来で 181億米ドルを記録しました。

2月末の外貨準備高は 1兆6500億ドルと、前月比 573億ドル増。一ヶ月の増加としては 1月の 616億ドルに次ぐ過去2番目の伸び率を記録しました。なお、2007年に増加した外貨準備は 4600億米ドルでしたが、そのうち、2500億米ドルは貿易黒字によるもので、残り2000億米ドルの約40%が人民元上昇を見込む投機的資金が中国不動産市場に流入したものと見られています。

中国の不動産価格は 2月は前年同月比 10.9%の上昇と鈍化しております。1-2月の固定資産投資も前年同期比 24.3%と鈍化。過去50年で最悪の大雪でプロジェクトが遅れて伸びが鈍化したものと見られております。また、政府高官は今後も不動産への海外からの投資に対する規制を強化する意向を示しております。

2月の消費者物価指数は8.7%の上昇。(1月は 7.1%)11年ぶりの高い伸び率であるものの、大雪の影響を引きずり、また食料品のコストが 23%上昇した結果と見られております。一方で、2月の小売売上高は 20.2%増と、過去9年来の速いペースを見せております。輸出需要の減速から今後個人消費が中国の経済成長の牽引になるものとの見られています。この背景には、昨年で 17%の伸びを示した都市部の収入の増加があるようです。また、当局も消費を促進し、投資や輸出への経済の依存度を低下させるために福祉支出を拡大し、農業従事者がテレビや冷蔵庫を購入する際の補助金を支給しています。
2月の生産者物価指数は 6.6%と3年ぶりの高い伸び率を記録しました。

鉱工業生産成長率は1-2月で 15.4% と昨年12月の17.4%から鈍化しております。輸出の減速と大雪による工場の閉鎖と電力供給不足によるものとみられておりますが、それでも、インドの3倍の伸び率を示しております。輸出の減速は米国での景気後退と世界的な信用収縮による輸出需要の影響によるものですが、その結果、貿易黒字幅も 1年前の 64%程度に縮小しました。輸出の伸び率も一年前から6.5%の伸びと過去6年で最悪のペースになりました。

2月のマネーサプライは M2 が 17.5%増の42兆1000億元(約 612兆円)と、1月の18.9%増から伸びが鈍化しております。

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