BRICs Watch - April 2008

4/27/2009
(注) この記事は 2008年5月28日の記事の再録です。

ということで、気づいたら、もう5月も終わりかかってます。
三社祭も終わりました。
今度の土日はお富士様の植木市です。
速すぎです。

で、今年も早く感じさせるものがあったんです。
ええ、ファンド一個立ち上げてます。
この数ヶ月市場が落ち着かないからパフォーマンスに苦しんでる
マネージド・フューチャーズ絡みです。
来月の後半に販売が始まる予定ですので、日経とかで見つけたら

ああ、これか。

と、思い出してやってください。。。
おかげで寝られてません(苦笑)


さて、BRICs ウォッチです。

商品価格の上昇が、これらの4つの国に活力を与えて盛り上がった一方、
更なる上昇がインフレまで輸出して(笑)さらに
世界中(日本とアメリカ、あとドルベッグ採用国(香港など)を除く)で
金利の上昇と対ドル高をエンジョイしている(?)、のがざっくりとした
現状、なのでしょうか。日本にいると全く実感できないですよねぇ。

スタグフレーションの前兆みたいな感じだけ感じますが。。。

で、原油価格の上昇が叫ばれて久しいにもかかわらず、
温暖化防止のために代替エネルギーの利用が叫ばれてるにもかかわらず
発展途上国には自国の事情が優先するようで、とうとう中国、インド、ロシア、そして
中東での石油の一日あたりの使用量の合計が始めてアメリカのそれを超えたそうです。
確かに、既に世界経済の成長率の10%を中国が占めている現状ですが、
原油価格の動きが従来はアメリカ国内の需要と供給で動いてきた面が
あっただけに、このような報告が出てくる事で、アメリカだけでは需要や供給の
フローがつかみきれなくなって来た、ということの現れなのかもしれません。
となると、もっと視野を広げていかないといけない、ということなのでしょうか。。。

だんだん世界は複雑になってきますね(苦笑)

4月のBRICs はインフレ懸念を払拭しながら、経済成長の維持にどう取り組むかを
国内の政治の安定性とあわせて検討し実行する、というターニングポイントにさしかかって来たようです。

ブラジル・レアル
年成長率を 4.5%で維持できるものとの見方とともに、昨年1年間で346億米ドルに及ぶ海外直接投資額が今年の経常赤字を補えるものと見られている事から、4月30日に米格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズが同国の信用格付けを投資適格級に引き上げました。なお、今年1月から同国は純債権国に転じています。

それに市場は反応し、株式市場の指標であるボベスパ指数が過去最高値を更新して年初来騰落率の主要20市場でトップになり、国債の利回りも過去最も低い水準にまで大きく低下し、対ドルでもこの日一日で昨年8月17日以来となる2.6%上昇しました。年初来でも7%程度の上昇し、9年ぶりの対ドル高水準となりました。

2007年第四四半期で6.2%という経済成長の速さとインフレ懸念から、中央銀行は 16日に指標である翌日物貸出金利を3年ぶりに市場の予想を上回る0.5% 引き上げて 11.75%としました。これにより米国の貸出金利との差が 9.5%に広がりました。これにより、金利引き上げ直前の15日からの一週間で、18日に米国株の上昇で0.7%下落したにもかかわらず、対ドル高が 1.4%進みました。

3月のインフレ率は食料品価格の上昇や消費者の需要がインフレを押し上げたことで 4.73%と、昨年同時期が過去8年で最低水準だった 3%から上昇しました。価格指数 IGP-M も4月は0.69%と予想外の上昇をみせました。4月には、食料品価格が 1.76%、また建築材も 0.82%それぞれ上昇したことが影響。他方、卸売農作物価格は 1.19%の下落。
中旬発表された消費者物価指数 IPCA-15も年率 4.94%と2年ぶりの高水準に。

ドルの下落とオレンジ・ジュースの世界最大の生産国であるブラジルでの乾燥との天候予想からオレンジ・ジュースの価格が上昇しました。先物市場(あるんですね)でも一日で 0.3%の高騰。

3月に経常収支の赤字幅が過去10年で最も広がっています。急速な経済成長と対ドル高によって輸入品への需要が増え、結果として貿易黒字が減少した事に加え、国内で操業している外国企業が国内の利益の多くを国外に送っているからと見られています。 2月の経常赤字は 20.9億米ドルであったところ、3月に 44.3億米ドルに広がりました。その一方で、海外直接投資がこの第一四半期で 88億米ドルに達し、この経常赤字を相殺していると中央銀行は見ております。


ロシア・ルーブル
ルーブルは、現在米ドル 55%、ユーロ 45%の通貨バスケットが大きく動かないように外貨準備金を使って調整されていることから、ヨーロッパ中央銀行による金利引き上げ 予想でユーロ高が進んだことから、年初から対ドルで 5.2%上昇するなど、9年ぶりの高いレベルにあります。
ロシアの通貨政策は、本格的な消費者向け信用取引がなく、また担保付き貸し付けもほとんどないことから概して非効率で、従って、強いルーブルが輸入コストを下げる事で消費者物価を鎮圧することを期待されているのです。そのため、インフレ対策に通貨レートを使うと、資金流入が加速するため国内経済が過熱する恐れがあるため、金利でのインフレ抑制が求められているのです。

消費者物価指数は年初から4月28日までで 6.3%、この4月だけでも1.4上昇しましたが、小麦などの食料品の原料の上昇によるものが大きく占めています。インフレ率も3月に二年半ぶりになる 13.3%を記録し、目標としていた10%まで下げる事に躍起になっています。28日には政策金利であるリファイナンス金利を10.5%と、0.25%引き上げました。

金・外貨準備高は月末に 5,295億米ドルと引き続き過去最高額を更新中。市場参加者が流動性の枯渇がおこり、資金需要が増えると予想して資金を流入させている、との見方があります。それに対して、国内大手銀行は、4月 17日と24日に行われた財務省による金融システムへの資金流入のための特別オークションで17.4億米ドル借り入れたものの、予想よりも少ない額で終わりました。このオークションでは4月末期限の付加価値税の支払いである210億米ドルの支払いが確実に行えるようにする意図があったことから、現在銀行に流動性が減少することはないと政府では判断している模様。

3月の工業生産成長率は年率換算で 6.5%と予想外に減速しましたが、その要因は原油生産の減少によるものでした。エネルギー依存から脱却と製造業の成長から、資本投資に力を入れている。

2008年最初の2ヶ月での貿易黒字は 358億米ドルに拡大。輸出は 691億米ドルと前年同時期比で 54%増加、輸入も 333億米ドルと前年同時期 50%増加。輸出の 73.8%がバルティックや旧ソビエト連邦外へのエネルギーの輸出、輸入のうち54.2%が製造機械。

資本流出は第一四半期で 228億米ドルにのぼったものの、185億米ドルが2月までであった事から3月の資本流出は減速していたとみられています。

インド・ルピー
ルピーは月中に一旦は上昇したものの月次ベースでは 1%下落。これにより3ヶ月連続で月次ベースで対ドル安。年初からでも 2.5%下落。原油高が輸入コストを引き上げている事、経常赤字により米ドル需要が高まるとの予想、株式市場への資金流入の減速から。他方、経済成長率予想が 8%から8.5%の範囲のレベルに引き下げられた事などから債券価格は 3年半ぶりの高値水準。


2008年3月の輸出額は前年同月比で 26.6%増加の 163億米ドルでしたが、35.3%増であった 2月から減速。世界経済の成長の減速に伴い、衣料品、鉄鋼などの輸出が落ち込んだことが原因。2007年4月からの1年での輸出額は前年同時期比 23%増の 1550億米ドルと目標だった 1600億米ドルに到達ませんでした。また、4月から国内価格抑制のために食料品などの一部輸出禁止を行う事から、2008年度目標の2000億米ドルの達成も早々に危ぶまれています。

3月の工業労働者の消費者物価上昇率は 7.87%と前月の 5.47%から大幅に上昇。卸売価格指数も4月12日の週で 7.33%と上昇傾向にあります。この3年ぶりのインフレの進行に対して中央銀行は17日と29日に銀行の現金準備比率を8.25%にまで2度引き上げる事でインフレ抑制につとめるものの、この金融緊縮策により経済成長率が4年ぶりの低水準になる可能性が考えられております。また、首相が国内の製鉄会社に対して今月中は海外の鉄鋼価格の上昇に追随せずに価格を据え置くように指示したとされておりますが、首相の率いる政党が今年に入って7回の選挙で敗れていることから来年の選挙に向けての政策との見方もあります。

外貨準備金残高は 18日時点で 3135億米ドル。

今年のモンスーンは米や小麦といった農作物に十分な雨をもたらし、収穫も食料不足を解消するだけのものになるとの予想。

2月の鉱工業生産指数は前年比 8.6%上昇、と4ヶ月ぶりの高い伸び率に。発電施設や工場への投資が電力やセメントの需要を押し上げた事から。

中国人民元
人民元は月間上昇率が2007年3月以来最小の 0.35%にとどまりました。一旦は 1米ドル= 6元台に乗せたものの、それ以降は 7元前後で推移。一旦は原油高によるインフレ懸念を通貨高で調整されると観測されたものの、25日の週には参照する通貨バスケットが対ドルで下落した事により週間ベースで8ヶ月ぶりの大幅安も。ドルが4月に反発したほか、世界経済成長が減速する中、中国人民銀行が人民元の上昇ペースを鈍化させているとの観測が広がったことが背景。

3月の消費者物価指数の上昇率は 前年同月比 8.3%と2月の 8.7%から減速しているものの政府の通年目標である 4.8%を大幅に上回っている。食料品と原油価格の上昇が主因。2008年のインフレ率予想は 5.5%と2007年の4.8%を上回るものに。

2008年の第1四半期の経済成長率は 10.6%と9四半期連続で 10%を超える成長率を達成。しかし、2008年の経済成長率予想は 10.7%と2007年の 11.9%を下回る見込み。輸出需要の低下が理由に挙げられている。

生産活動の指標となる中国製造業購買担当者指数(PMI)は 4月に2005年1月の調査開始以来最高値となる 59.2と、3月の58.4から上昇し生産活動の拡大ペースの加速が示されました。PMI はエネルギーや製鋼、繊維、自動車、エレクトロニクスなど20業界の 700社を対象に調査が行われ、50を上回ると企業活動の拡大、下回れば縮小を意味する。4月の生産指数は 66.5と3月の 64.1から上昇。新規受注指数も 65.0と前月の63.8を上回りました。一方、輸出向け受注指数は 58.9と前月の59.1から低下、と、アメリカをはじめとする世界経済の景気減速にともなう輸出需要の減速と年初の50年ぶりの大雪の影響の反動による国内需要の拡大が反映された形に。

2008年第一四半期の貿易黒字幅は、414億米ドルと、前年同時期10.8%の減少。輸出額は 3059億米ドルと前年同時期 21.4%の増加であった一方、輸入額も 2645億米ドルと28.6%の増加。米国のサブプライムローン問題の影響で中国への輸出需要が弱まり、また、国南部での厳冬も黒字幅の減少に影響。また通貨高も貿易黒字幅の減少の要因のひとつ。他方、3月単体では貿易黒字は134億米ドルと前年同月の2倍。


世界最大の鉄鋼の消費国であった中国の鉄鉱石の需要も経済成長の減速に伴い、2007年実績で前年比 11.9%増加したところ、2008年予想が 11%にとどまるものと見られています。

2008年1-3月期の都市部の固定資産投資は前年同期比で 25.9%と 1-2月期の24.3%を上回った。また、3月の小売売上高は前年同月比 21.5%と1999年以降でもっとも高い伸びを示しています。
その一方、1-3月期の家計貯蓄は 19.1兆元(約277兆円)と、1.5兆元だった前期末から四半期ベースでは1999年以来で最大の増加。株式相場が下落し、不動産投資が規制された事で貯蓄に資金をまわす国民が増えたため。

外貨準備金残高は3月末時点で 1兆6800億米ドルで、前年同月比で 40%増に達しています。

2007年の中国から金融機関をのぞく在国外企業への投資は 187億米ドルと、2006年の17.6%から6.3%増加。国内経済に流入し世界第2位の外貨準備金残高に押し上げた記録的な貿易黒字の削減のため、個人や企業の海外への投資方法の拡大を模索中。

海外の企業による中国国内の企業への投資は2007年で 835億米ドルに達しました。海外直接投資額は2006年から15%増加し、そのうち、東部への投資が前年比 10%の増加であった一方、中部と西部への投資は、金融機関以外への投資の1/6に相当する額で、それぞれ前年比 37%と60%と、それぞれ増加しました。

海外直接投資は3月に 93億米ドルと前年同月比 39.6%増。第一四半期では274億米ドルと前年同時期61.3%増。

温家宝首相が前月、過熱気味の景気の抑制とインフレの抑制を最重要課題と掲げ、金融政策の緊縮化を進める意向を受けて、中国人民銀行は16日、25日からの預金準備率を 0.5%引き上げて 16%とすることで、加熱する経済成長の鈍化を促す意向。預金準備率の引き上げは今年で3回目。
3月のマネーサプライ(通貨供給量)統計は、M2が前年同月比16.3%増と、この1年あまりで最も低い伸び率に。流動性抑制に向けた措置が奏功しています。3月末時点の人民元建て融資残高は前年同月比で 14.8%増加し、また3月の新規融資は 2834億元(約4兆1250億円)で、第一四半期では 1兆3300億元でした。

22日に政府は投機的な資金の流入を抑制するために国内の外資系を含む銀行に海外からの1年未満の借り入れを制限しました。1-3月期のいわゆるホットマネーと呼ばれる投機的な短期資金の中国への流入が前年同時期のほぼ3倍にあたる 800億米ドルに達しました。

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