実はこの数日で

4/25/2009
(注) この記事は 2006年1月24日の記事の再録です。

二冊の本を読み終えています。
どちらも、しかもいろいろな意味でタイミングのすごくいいものでしたので、
それぞれ旬のうちにご紹介しておきたいなぁ、なんて。

まずは、一冊目は、芸能証券から上場廃止され、会社も監理ポストに移された彼と、
その右腕の二人で書いたとされるこの本です。





もし、会計操作がなく、本当にクリーンな状態で彼らのいう

「シンプルに、株価を上げるにはキャッシュフローのある会社を買うことで
時間を買い、キャッシュフローをPER で再評価することで更に株価を上げて
更なる会社を株式交換で取得して…」

という、ある意味無限機関的な終わりの無い増殖が待っていたのか、それはよく分かりません。

# とはいえ、世界中の株式会社の数が有限であるものの、時間が限りなく続き
# 株式会社が次から次へと生まれつづけるのであれば確かにそういった会社を
# 永遠に吸収しつづけることで無限の増殖はありえたのかもしれません…
# それが世界に単一の企業グループの存在しかない、というきわめてゆがんだ
# 世界を生み出し、そのときに、時価総額原理主義の意味があるのかどうかは
# 分かりませんが…

いや、どこかでこの手口にもPER の低下などの結果で収斂する時期が来るのかもしれません。

しかし、一連の流れを見る前に、一つ一つの考え方を確認するならば、
これらは正しいでしょう。
会社はB/S や P/L も大事だけど、キャッシュの過不足は経営を左右すること。
株価を上げること、それは株主に対する会社経営者の忠誠。
株価を上げることで、株式交換による買収をしやすくする。
買った会社をPER で再評価することで会社の資産としての価値を底上げする。
また、買収した会社はノウハウと時間を手に入れる。
その結果、買収した会社の評価が上がる。

また、会社は、最後は働く人が肝心、だからそこに腐心している。
会計処理も、ちゃんとする。隠しようが無いから。

どれもこれも、ひとつひとつは確かに嘘は無い。ある意味教科書どおり。
本当に彼らのいう通り、シンプル極まりない。嘘の無い中でこれが繰り返されている
限りは、確かに誰もが信じてやまなかったでしょう。

でも、残念ながら彼らは会計処理を意図的に誤った。
公開情報を操作した。
それは、十分株主と潜在的株主の判断をゆがめた。
その一言で、本当は十分のはず。周りが余計なことを言いすぎているだけ。



さて、この本に関してだけいうならば、はっきりいってしまえば、
この本は今日LD の社長になった平松氏の会社の会計ソフト、弥生の
宣伝以外なにものでもないです(笑)
しかも、ご丁寧に体験版までくっつけている。

しかし、これを上手に導入している、という意味で、会社の会計ってなぁに、
とかキャッシュフローって、という基本的なところを教えてくれている、とはおもいます。


しかししかし、そもそもLD はほとんどものを売らない会社なので
売掛がとか買掛が、とか、在庫管理が、とか、という議論をしないでいいので
都合がいいなぁ、なんておもったり。その関連で誤解を覚悟で言ってしまえば、
よく、村上氏のアクティビスト・ファンドと対比がありますが、考えてみれば
村上氏は人のお金を、株に代えてそれぞれの株価をそれぞれの会社の体質を代えるなど
して上昇させて売却してキャピタルゲインを得て大きくなる、のですが、
LD の場合、堀江氏のお金と第三者割り当てで入ってきた株主との資本金を元手に、
IT 企業である LD のPER をてこにして、買った会社を片っ端からそれで再評価して
その価値を引き上げて株価を高めていく、という意味では、実業がほとんど無い
LD というのは実は堀江ファンドと言ってもあまり間違いは無いのかもしれません。
IT企業という看板分だけ、株価のコントロールが楽だったのかもしれませんが…

ちなみに、同じように買収によって時価総額を高めているのは楽天だって同じ。
あとは、どれだけゲームのルールにのっとってやるか、だけなのでしょう。

さて、これで彼の最後の著書、かとおもっているものの、私の雇い主様と上司様は
「やっぱり、敗軍の将、兵を語るでしょう」
ということで、あと一冊は出るのかな?
でも、これも、堀江氏の言葉は、全部で6ページ程度、あとは宮内氏と
インタビュアーとのインタビュー形式をそのまま載せただけなのと、
ちょっとした用語解説で20ページを使う、という、そっか、それでも本を
書いたことになるのか、とちょっと裏読みしたりして:-p

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