内容証明郵便に見る、郵便局の底力

4/26/2009
(注) この記事は 2006年 11月 7日の記事の再録です。

金融系の仕事をしていると、どうしてもさけられないのが法律の話。
といっても、法律も今までのコラムで出てきたような会社のあり方を左右するような
大きな変更のような、格好のいい話ばかりでなく、例えば借金を返してもらうための
手段として、実務の中での裏付けになる法律の存在というのが実は大きなウェートを
しめるのですが、まぁ、これがなければ安心して、いわゆる
「法的手段」
を取ることができない訳ですので、切っても切れない縁、と言う訳です。

で、そんな「法的手段」でも、まず柔らかいところで、相手に
ちゃんと私はあなたにいつこんな文章を送ったんですよ、ということを
証明する必要が出てくるときがあります。例えば借金の督促がいい例では
あるのですが、それ以外にも
「私はあなたにちゃんとこういう申し出をしています」
と言う必要にある局面というのはいろいろあります。

で、そんな時に使えるのが、一つは公証人による証明、ですが、これは
結構大げさですし、公証人は 24時間受け付けてくれる訳でも、それを
相手に届けてくれる訳でもない。
そこで、重宝なのが「内容証明郵便」という制度なのですが、
これにはいろいろなルールがある一方、その一つ一つに郵便局の底力が見え隠れするのです。

念のために、ご存じない方のために解説すると、
郵便局に、ある一定のルールに基づいて書かれた、同じ内容の手紙を3通と封筒を一通持ち込んで
「内容証明でお願いします」
と依頼すると、手紙3通の中身が一字一句同じであることを
確認した上で日付入りのスタンプを3通に押し、一通は郵便局が保管し、
一通には先方に送り届け、最後の一通は差出人に控えとして渡される、
というものです。
ということで、ちゃんと先方に到達したか、という大きな問題が
残り得るのですが、ちゃーんとそのあたりを考えて
「配達証明」
という配達して(その住所にいる人に)手渡ししたとことを
証明する仕組みもあるので、たいていは
「内容証明を配達証明で」
と言っておけば、まぁ、言いたいことが相手に届いたことをちゃんと
法廷で証明できる手段を手に入れたことになるはずです。
# 相手がそこにいて受け取れば、ですが。。。

で、この内容証明郵便ですが、一定のルールに従って郵便局も証明する
ことになるので、案外手間のかかる作業のようで、東京駅の丸の内にある
東京中央郵便局では専用の窓口を二つ準備している位。なぜか。
最近ならパソコンで作成されて 3部まとめて印刷された書類が
ぽんと渡されるはずなのに、きっちり一字一句違いがないか、しかも行数/文字数制限など
のルールをちゃんと満たしているかどうかまで確認するのです。
これが日中の依頼ならまだしも、夜中などの営業時間外に郵便物を引き取りにいく
窓口でも担当の人が少なくて、たまに郵便物の引き取りで列が出来るにも関わらず
そこまでしっかり見た上で引き取ってくれるのです。
言い換えると、それが出来る郵便局員を夜中に配置して、普段は郵便物の引き渡しを
させてる、ってことですよねぇ。。。オーバースペックというべきかなんというか。。。

でも、そのオーバースペック、というと失礼な郵便局員さんが夜中に教えてくれたことが
いくつかあって
一つは「内容証明郵便の送り主は国内の住所でなければならない」
もう一つは、「証明すべき通信文の宛先と封書の宛先は同じ出なければならない」

まぁ、後者は登記上の所在地と実際の本社機能のある場所と異なる場合にちょっと一文
添える必要があるからいいものの、前者はちょっと面倒。なぜかと言うと、時には
海外の投資家の振りして株主にものを言うケースでは、株主の住所と氏名を明かすにも
海外の住所では内容証明出来ないのに、内容証明郵便では出来ない、という実務的な
ハードルが発生するのです。その場合には、国内に代理人をたててその人に送らせる
という手法で回避できるものの、上記のいずれにしたって、ちゃんと条文等を読んで
理解できないと、そんなことはパートのおばちゃんではわからない、という落ちになりかねません。

しかし、そんなオーバースペックな人を惜しげもなく配置できる Japan Post って。。。
ある意味すごいことかもしれませんね(笑)

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