証券化のエキスパートと考える、新しいビジネス

4/25/2009
(注) この記事は2005年12月7日の記事の再録です。

夕べ、私が社会人になってはじめて入った会社の同期で
証券化のエキスパート氏と会って食事をしました。

まぁ、同期という事もあって四方山話も山のようにしたのですが、
その横で、彼が証券化の新しいアプローチを考えていてそのアイデアの
相談をされた、というのが今夜の本題ではあったのです。

といいながらも、酔った勢いで、会話は既存のエキゾチックなアセットクラスの
話から、 WBS の本質論までと、さすがはプロ!という着眼点での
話になり、楽しかったのですが、ここでは守秘義務も絡むことから
新しいアイデアの話に限定して紹介しましょう。

彼は、言ってしまえば某米系大手金融機関で、証券化の草分けの方の
チームで働いているのですが、大手なだけにエキゾチックなアセットクラスを
することなく、商売を進めていくことが出来ていたようなのですが、
ここに来て、銀行をはじめとする間接金融が息を吹き返していることから
資金需要のあるところの ABS に対する需要の先細り感があるようなのです。

で、そういった資金需要のあるところとして、ヘッジファンドのようなところの
可能性がどれだけなのか、というのが、まぁ、夕べの話のきっかけでした。

ヘッジファンド業界で、証券化のできる可能性のある資産って、そもそも
ありえるのだろうか、というのが疑問でしたが、よくよく考えてみると
次の3つの可能性がありえるだろう、ということになったのです。

1. 投資家の持つヘッジファンドの持分を担保にして資金調達する。
要は CBO/CDO のヘッジファンド版で CFO (Collaterallised Fund (of Funds) Obligation)
2. ファンドが投資家に対してキャピタルコールする時の、ファンドが投資家に対して
もつキャピタルコールの権利
3. プライムブローカーがヘッジファンドに対してレバレッジさせるためにマージントレードさせて
いる際の信用供与を担保として資金調達

さて、3.についてですが、プライムブローカーというと、リーマンブラザーズや
ゴールドマンサックスなど、世に名高き投資銀行さんですので、そこが資金調達を
行うといったときに、日々値洗いの大変なポジションを担保に供出するくらいなら
自分のところの債券発行会社に発行させるほうが全然お手軽でコストも掛からない、
という観点でみると、(某新生銀行のような自らのアセットを常に売りに出すような
メンタリティが導入されるなどの)よほどのことがない限りないだろうなぁ、ということと、
もし、万が一やった場合に、ヘッジファンドインデックスを見るとわかるのですが、
なんだかんだといっても、ヘッジファンドはみんな同じような相場観を持っているわけですので、
その反対に市場が動いた場合には、マーケットのメルトダウンのような異常事態が
発生するわけですので、マージンコールを行う時には事実上すべてのプレイヤーに
対して行うわけですから、これを裏づけにした場合には、早期償還事由になるけれども
キャッシュはどこにもない。。。という局面がなんとなくイメージできるのです。

上記は、実は2. はアメリカではあるらしいのですが、これに対しても同じで、
投資家に対してキャピタルコールを行うというケースは、実際にはそうそうなく、
また、事実上ファンドに対する投資家の未払いリスクの保証行為と代わらない
訳ですので、ある意味クレジットファシリティの提供になるので、ABCP で機動的に
調達してすぐに返す、ということの繰り返しをどれだけ頻繁に行う、もしくは
ファシリティ分のフィーを取るというビジネスが受け入れられるか、という問題に
なるのではないでしょうか。

んで、そう考えた場合に、一番現実的なのは最近の証券化の時流にもあっている
1. の CFO ということになるのですが、ファンドの投資を行っている投資主体の
資金調達ニーズってどうなんだろう、という根本的な問題にぶち当たるのです。
まぁ、CFO ということですので、投資家に対してリクイディティを提供してあげる、
という、意味で、例えば個人の投資家の事業性資金の融通のために担保として
ファンド持分を、という話とあまり変わらないのかなぁ。。。という見方もあるのです。

実は、あとひとつ大事なことがあるのですが、それは守秘義務に抵触するので内緒、
ということで(笑)

ということで、うーん、ファンドビジネスと証券化、融合するにはなかなか難しいのかも
しれません。

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