Below the Waste

4/23/2009
(注)この記事は 2005年8月31日の記事の再録です。

The Art of Noise のオリジナルメンバーによる最後のアルバム、がこちら。


The Art of Noise の本当の意味でのオリジナルメンバー、J.J. と Anne の二人だけが
残って、最後に作ったアルバムがこの Below the Waste。

その当時の時流に乗った、ワールドミュージック的なアプローチの曲を
入れながらも、Anne が明らかに傾倒していた映画音楽の世界に限りなく
近づいたアルバムの構成になっているのが、一度通して聞いたときに
違和感のない各曲のつながり方に象徴されていると思います。

そして、確かにサンプリングを随所に使っているものの、もはや
オーケストレーションにきわめて自然にとけ込んだ、「音」としての
調和のなかに存在して、その存在の特異性を以前ほど主張しなくなっているのです。
もはや、靴音やテーブルをたたく音、エンジンの音が音楽の中で奇異な存在として
迎えられる時代ではなくなり、Noise の芸術性が普遍的なものに変わった瞬間を
このアルバムはとらえたのかもしれません。

ですので、最後から一つ前の James Bond のテーマに至っては、ちょっと聞いただけでは
いろいろなバージョンが有る中でもきわめてよくアレンジされたバージョンのそれ、と
してのみ認知されかねないほど、普通によく出来た仕上がりなのです。

そうとらえた瞬間、Art of Noise はその役目をひとまず終えたのかもしれません。
そして、90年代のテクノ/ハウスの興隆の中で再評価を受けることになるのです。

Song list:

  • Dan Dare
  • Yebo!
  • Catwalk
  • Promenade 1
  • Dilemma
  • Island
  • Chain Gang
  • Promenade 2
  • Back To Back
  • Flashback
  • Spit
  • Robinson Crusoe
  • James Bond Theme
  • Finale

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